Cine

中田秀夫監督 『インシテミル』

映画『インシテミル』を観に行ってきました。残念な出来でした,としか言いようがない。 まず立ち位置を明らかにしておくと,米澤穂信の小説(ISBN:4163246908)は単行本で持っています。少なくとも3度は再読しており,メタミステリーの傑作だと思っている…

深川栄洋監督 『半分の月がのぼる空』

最後に,人によってはネタバレになる発言があります。 朝,出勤前に新聞を読んでいて,映画『半分の月がのぼる空』の上映が始まっていることを知りました。で,たまたま今日は割引の日。仕事の後に行けば間に合いそうだったので,夕方の上映を観てきました。…

谷口正晃監督『時をかける少女』

平成の女子高生が昭和40年代へとタイムリープしたら? というのを,期待を違えないように作り込んでいます。背景セットとか小道具とか良く作ったね,というのが画面から受ける印象。画面の切り替えにワイプを使うなど,あえて古い映画の手法を使っていて“擬…

ガイ・リッチー監督『シャーロック・ホームズ』

新聞の紹介欄で見かけて興味を惹かれたので映画『シャーロック・ホームズ』を観に行ってきました。 一言で評すると「むさくるしい」。観たのは字幕版でしたが,これだと露口茂が吹き替えで声をあてても似合わない。グラナダTV版によって培われたホームズのイ…

細田守 『サマーウォーズ』

夏休みの混雑が終わるのを待って*1,細田守(ほそだ・まもる)監督作品『サマーウォーズ(SUMMER WARS)』を観に行ってきました。 おそらくわざと“ストーリーのロジックを詰めていない”せいで,ネットワーク論とか家族社会論とか地域論とかを語りたい気にさ…

フラガール

オンデマンド機内上映のプログラムに李相日監督作品『扶桑花女孩(Hula Girls)』があったので観る。公開時に見逃していたのですが,労働法学会の末席に身を置く者としては大変に興味深いものでした。 時は1965年,鉱業が縮小されようとする磐城に取材し,新…

映画『エコール』 ―― 19世紀末という文脈の消失

ルシール・アザリロヴィック(Lucile Hadzihalilovic)監督作品『エコール(Ecole)』を観る。シアターキノでは,今週で上映終了。 悪くはないのですけれど,褒めるのも難しいです,これ。 以下,内容に関するネタバレを含みます。 物語の筋は,年端のいかな…

アタゴオルは猫の森

id:kuroyagisantara が,ますむらひろし原作の映画『アタゴオルは猫の森』を観に行くというのでついて行く。札幌シネマフロンティアでは公開開始から2週間で打ち切りになるというので,どんな出来かを確かめに。 ――これはひどい。一人で来ていたのなら,開始…

『ローズ・イン・タイドランド』

同じ映画館で上映されていた,テリー・ギリアム(Terry Gilliam)監督の『ローズ・イン・タイドランド(Rose in Tideland)』を続けて観ました。 http://www.rosein.jp/ もう,「すごい」の一言。なんか言語中枢をヤラれてしまって,どう表現したらいいのや…

映画版 『笑う大天使』

シアターキノにて,川原泉原作の映画『笑う大天使(ミカエル)』を観る。 http://www.michael-movie.com/ 以下,ネタバレを含みます。 失敗作。 ものすごく「嘘っぽい」造りです。でも,それが悪いわけじゃない。開始早々,いかにも合成しました〜という学園…

細田守『時をかける少女』と近藤喜文『耳をすませば』の相同

細田守監督の映画『時をかける少女』を観てきました。 良かった。 特筆すべきは声の演技。例えば随所に組み込まれているキャッチボールをするシーン。「気怠い日常」を表現する場面だが,ここで過剰な演出をされたり,逆に素人芝居をされたら台無しになると…

映画『最終兵器彼女』 The RUSTIC LOUSY Story on This Little Planet.

ちせはかわいくない。 仕上がりは想像以上にシンコクで…… それ以上にサンタンだったんだ。 札幌シネマフロンティア爆撃 毎週日曜朝07時30分 なにもかもを根こそぎにしてしまった。 ごめんね おかしい……おかしいよぉっ! 破壊されたセカイ系 体が兵器の女の子…

Mr. & Mrs. Smith

帰省中の友人と会食した後,連れだって映画『ミスター&ミセス・スミス』*1を観てきた。 建築家ジョンは,プログラマーのジェーンと恋に落ちた。結婚して6年,倦怠期の二人に危機が訪れる。二人は同時に仕事でしくじってしまったのだ。それというのも,実は…

ヴェニスの商人

マイケル・ラドフォード監督作品『ヴェニスの商人』を観てきた帰り道。 http://www.venice-shonin.net/ この先にはネタバレがあります。 「音楽が良かった〜」 「うん。声楽も,器楽曲も」 「さすがMGM」 「?」 「Metro-Goldwyn-Mayer」 「あ,『トムとジェ…

御法度

映画でも観て過ごそうとしたところ、18時からフィルモテカ(La Filmoteca,バレンシア州立映画機構)で大島渚監督作品『御法度』(1999年)を上映するというので鑑賞。1.5ユーロ。日本語音声、バレンシア語字幕。 時は幕末、衆道の狂気に取り憑かれた新撰組…

ヒトラー 〜最期の12日間〜

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を観てきました。 いい映画でした。政治的な意味合いで取り上げれば色々と言えるでしょうけれど,私はそういう語り方をするつもりはありませんので……。人間の織りなすドラマが最も端的に表れる戦争を描いた,手堅い映画だとい…

姑獲鳥の夏

映画『姑獲鳥(うぶめ)の夏』を観てきた。 http://www.herald.co.jp/official/ubume/ http://www.ubume.net/ 「この世には不思議なことなど何もないのだよ」 いや,この映画が眼前にあることが不思議なんですけれど……。何というか,学芸会? 京極夏彦の原作…

The Phantom of the Opera

大学に行く用事があったので外出。帰りがけに映画『オペラ座の怪人』を観てきました。さすがミュージカルで成功を収めた作品だけあって、音楽が良かったの♪(うっとり) しかし、どうしてファントムまで美形にするかなぁ。あんな凛々しい顔だと、マスクを付…

A I R

劇場版AIRを観てきました。 うぐぅ。これって、本当に“A I R”? ――というくらい、ゲーム(ASIN:B00005ON3V)とは別な作品。この先ネタバレになるので、ご注意を。 ゲーム版 http://key.visualarts.gr.jp/(以下、麻枝准AIRとする) 劇場版 http://www.air200…

The place promised in our early days

札幌のミニシアター「シアターキノ」で新海誠監督の新作『雲のむこう、約束の場所』を観てきた。 幕が上がったところで、気づかれないように内心ため息をつく。 「どうして、こんな作品に仕上がっちゃったのかなぁ……」 端的に言って、物語としては破綻した作…

Diarios de Motocicleto

師事している道幸哲也教授は、大の映画好き。先生の発案で、映画鑑賞会と相成りました。何を観るのかも聞きそびれていていたので、席についても何が上映されるのか知らなかったのですが…… なんか、いきなりスペイン語が出てきてびっくり。もちろん日本語字幕…

酔いどれ天使

昨日から引き続き機内です。食事が出たあと、軽く2時間ほど眠って目が覚める――という、いつものパターン。 各座席にパーソナルテレビが付き、番組を選べるようになったのは有り難い。黒澤明「酔いどれ天使」を観る。1948年の制作で、戦争直後の街角がかえっ…

Garfield

海外在住日記。 知人のところへ帰国の挨拶に出かけようとしたものの、ちょっとばかり早かったので、時間調整のために映画館へ。お気楽なものがいいだろうということで「ガーフィールド」を観てきました。 つまんなかった。 デブなネコが主人公。飼い主が、獣…

The Terminal

海外在住日記。 昨晩、映画を観てきました。スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の「ターミナル」。日本では新春公開だそうです。 あらすじ―― 舞台はジョン・F・ケネディ空港(ニューヨーク)、主人公は東欧の国から来た男。機中にあった間…

HARRY POTTER y el prisonero de Azkaban

海外在住日記。 日本の皆さん、ひと足お先に失礼します。封切り初日に、映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(スペイン語吹替版)を観てきました。 ま、あらすじの紹介は ISBN:4915512401 にあるし、当該キーワードに情報源を書き加えておいたので、…

八月の狂詩曲

先週に引き続き、フィルモテカで黒澤明作品の鑑賞。今回は『八月の狂詩曲(ラプソディー)』。ASIN:B00006RD6F:image おばあちゃんのところにハワイから連絡が来た。70年前に開拓農民として移住した兄からだというが、おばあちゃんには心当たりがない。パイ…

まあだだよ

バレンシアの中心、市役所広場に面してフィルモテカという劇場があります。ここでは世界各地の映画上映を精力的にこなしていまして。昨晩は黒澤明監督の『まあだだよ』だったので、観に行ってきました。クロサワといえば「世界の」という枕詞が付くくらいで…

Patlabor 2

劇場版『機動警察パトレイバー2』(スペイン版)を観る。 国防予算の増大を企図する者達が、東京を舞台とした「戦争」という状況を演出することにより、平和に酔いしれた国に危機感を持たせようとする筋立て。そのために首謀者達が繰り出してくるのは、米軍…

Lost In Translation

映画『ロスト・イン・トランスレーション』を観てきました。ちなみにスペインでの話。日本では、間もなく公開される予定とのことです。 サントリーでいちばん高いウィスキーの広告に出演するためにやってきた俳優(ビル・マーレイ)と、カメラマンである夫に…

Zatoichi

日本映画がスペインでも公開されたので、観てきました。“サトイーチ”です。日本風にいうと、北野武監督の『座頭市』ね。 う〜ん、悪くはないのだけれど、良くもなかったというのが感想。ストーリー展開における、浪人・服部源之助(浅野忠信)の絡ませ方に難…