地域コンテンツ研究会@富山


 第4回目となる地域コンテンツ研究会を,富山県立「高志の国文学館」で開催しました。元はと言えばこの研究会,富山県が文学館が立ち上げようとした際に,サブカルチャー部門で収集するコンテンツについての助言を求められて集まったのが始まりでした。その文学館で研究会を開催できたということ,それ自体が慶びです。

特集: まちの未来をつくる
【第1部】 報告・話題提供

  • 「まちの未来を学生がつくる」 小泉葵 (富山高専国際ビジネス学科4年)
  • 「文学館におけるアニメ・マンガの役割」 大川原竜一 (高志の国文学館 主任学芸員
  • 「夢みる力を、つくる力へ ―― 地域・コンテンツ・人間」 近藤周吾 (富山高専准教授)

【第2部】 講演

  • 「アニメ舞台からのまなざし ―― アニメと地域文化のエマージェンス」 花房真理子 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)

【第3部】 総合討議

http://www.regionalcontents.net/

 今回は,主に城端の事例を念頭に置きながら,地域住民との人間的な関係について議論しました。私からは,来訪者数を単位としてみれば成功例とみなされているような《アニメの聖地》であっても,地域コミュニティの形成に対する寄与という観点からみれば……という話をいたしました。一般参加でおいでいただいた方々からのご発言からも示唆を得ることができ,良い研究会に仕上がったと満足しております。

スペインで『現代日本法入門』が出版されtました

 日本大学で開催された日本スペイン法研究会に参加してきました。
 研究会では,2010年に『現代スペイン法入門』(ISBN:4782305079)という本を出版しています。これは,スペインの法制度について現地の執筆者に記述してもらい,それを日本の研究者が注釈を付けつつ日本語で紹介するというものでした。
 次は日本の研究者が日本の法制度について原稿を書き,それをスペイン語に訳してスペインで出版しよう――という企画が立ち上がったのは3年前だったでしょうか。色々とあったのですが,このほどようやく『Introduccion al Derecho Japonés Actual(現代日本法入門)』(ISBN:9788490149126)という本になりました。
http://www.derecho-hispanico.net/libros.html
 私もコラムを2つほど書いております(「年金制度」と「パートタイム労働法」についてです)。10月に出版されたらしい,という噂は聞いていたものの,ようやく実物を手に取ることができました。
 95ユーロと高い本ですが,約750頁ありますのでお値段に見合うだけの情報が詰まっております。日本国内では入手困難だと思いますけれども,スペイン語圏に法律を生業とされるお知り合いがおられたらご紹介くださいませ。
http://www.amazon.es/dp/8490149127/

地域コンテンツ研究会

 来る2012年9月1日(土)13時より,甲南女子大学(神戸)におきまして「地域コンテンツ研究会」の第1回研究会を開催いたします。私が司会進行係。中心となる発表は次の3本を予定しております。

  • 「顔貌性から地貌性へ――具象/抽象のあわいを分析するために」 近藤周吾(富山高専
  • 野坂昭如火垂るの墓」の虚構と地域表象」 横濱雄二(甲南女子大)
  • 「『忍たま乱太郎』の「聖地」をめぐって」 西田隆政(甲南女子大)

http://www.regionalcontents.net/

 これに加え,討議前の小括で萩原由加里さんからコメントをいただきます。
 資料準備の都合で来場者数を測りたいため連絡をお願いしておりますが,興味関心をお持ちの方の来場を歓迎します。詳細については笠間書院にてご確認ください。

 ちなみにこの研究会ですが,昨年度に私が発表を行った北日本サブカルチャー研究会」が母体となっております。北海道大学の出身者が札幌で立ち上げたときには《北日本》の名に偽りは無かったのですが,富山で例会を開くにあたっては弁解が必要になり,さらに神戸でも活動を展開しようとすると相当な不都合が生じたため,持株会社的な組織を立ち上げることになりました。

『18歳から考えるワークルール』できました

 法律文化社から,共著で『18歳から考えるワークルール』(ISBN:4589034476)を出版します。奥付では2012年8月31日の刊行なのですが,見本が届きました。

  • プロローグ (道幸哲也放送大学
  • 仕事をはじめるときに気をつけることは?(國武英生:小樽商科大学
  • 内定したのに働けない!? (迫田宏治:弁護士)
  • 労働条件とはどのように決まるの? (村田英之:弁護士)
  • 賃金のルールってどうなってるの? (開本英幸:北海道大学客員准教授・弁護士)
  • バイト時間が長すぎる!? (淺野高宏:北海学園大学准教授・弁護士)
  • ワーク・ライフ・バランスって何? (大石玄:釧路高専
  • 労働条件って一方的に変更されていいの? (山田哲:東京農業大学
  • 職場で何をするとマズいの? (平澤卓人:弁護士)
  • 職場でセクハラやいじめにあったら? (上田絵理:弁護士)
  • 仕事をしてうつ病になったら? (加藤智章:北海道大学
  • 仕事をしながら子どもを育てるには?(所浩代:新潟青陵大学
  • やめさせるのは会社の権利 (斉藤善久:神戸大学
  • 会社から契約を更新しないといわれたら? (戸谷義治:琉球大学
  • 失業したとき,どんな支えがあるの? (片桐由喜:小樽商科大学
  • 労働組合って何なの? (中島哲:弁護士)
  • 困ったときどこに相談すればいいの? (平賀律男:パラリーガル

 大学の新入生を対象とした教科書ですが,グラフや図版,コラムなどを採り入れて読みやすくなるよう仕立てています。

懲戒解雇を避けるために為された退職の意思表示

 一昨日より店頭に並んでおります『法律時報』1049号(2012年8月号)に私の判例評釈「懲戒解雇を避けるために為された退職の意思表示」を掲載いただいております。

 労働時間の自己申告において不正を行った労働者が,自主退職をしなければ懲戒解雇されるものと誤信して行った退職の意思表示は有効か? ということが争われた富士ゼロックス事件(東京地判 平成23年3月30日 労働判例1028号5頁)について検討を加えております。どうぞご覧ください。

とある道東の工業高専

 ご挨拶が遅くなりましたが,2011年4月1日付けで釧路工業高等専門学校に准教授として着任いたしました。一般教育科[社会]の担当で本来的には「法学」の担当なのですが,定年退職された前任者が嘱託で残っておられますので,当面は2年の『現代社会』と5年の『ドイツ語』を担当いたします。以下,赴任前の問答。

  • Q1: 高専って,ロボコンのあれですか?
    • A1: えぇ,まぁ,そうです(^^;) が,私は一般教養の担当なので,直接には関わらないですよ。
  • Q2: 高専って,どんな学生がいるの?
    • A2: 制度の上では〈高校3年+短大2年〉を合わせたものだとお考えください。15〜20歳の学生が中心です。
  • Q3: 教員免許を持ってたっけ?
    • A4: いいえ。学校教育法第120条が高専での教育にあたるべき者の職位として「校長/教授/准教授/助教/助手」を挙げていることを受けた高等専門学校設置基準第12条を満たしているということで,採用されました。
  • Q4: コネ採用ですか?
    • A5: たぶん違います(笑) JREC-INを経由して流れてきた公募情報を見て応募してみたところ,お声をかけていただきました。出身大学の指導教員には,面接に呼んでいただいたあとになって応募していたことをご報告しました。
  • Q5: 面接では模擬授業やったの?
    • A5: やりましたよ。『現代社会』から何か好きなところを――という指示でしたので,得意な地理の中から「人口問題」を選んで披露いたしました。

 いわゆる就職活動を始めてから足かけ4年,計38箇所の公募に応募してまいりました。ちょうどこの時期に本田由紀先生の著作に触れたことが影響して,自分のやりたいのは〈法学部における法曹教育〉ではなく〈職業教育を通じた人材育成〉だと考えるようになりました。日本において職業教育を担う場は専門学校なわけですが,本気で技術者を育てようと思うなら18歳からでは遅いのでは? ということを約10年ほどの専門学校勤務で感じました。そこで,中等教育から一貫して社会科教育に関わることのできる5年制の高専を主眼に置いてアプローチをかけていたという次第です。
 大学院を出てからというもの,スペイン語,地理,歴史,政治,経済,知的財産権行政法(以下略)など幅広く教えておりました。それが今回の釧路の求人では短大相当の法律は当然として,高校相当の現代社会に加え第2外国語も教えられる者,ということになっておりマッチングが上手くいったのではないかと顧みて思うところです。
 ちなみに今日,39歳の誕生日を迎えました。常勤のお仕事に就いたのは,これが初めてです。加えて,去る3月までの1年6か月は研究機関に所属先を持たない無所属でありました。大学院在籍時には仕事が見つからなくて苦労している研究者仲間を数多く目にしてきましたが,何か得るところがあればと思い,採用に至る経緯を此処に書き記しておきますね。

 割り当てをいただいた研究室は学校内で最も高い場所(といっても4階)にあり,晴れていれば階段室の窓から雄阿寒岳雌阿寒岳を望むことができます。校舎の敷地を出れば,そこから釧路湿原だったり……。