坂の上の雲 (8)

新装版 坂の上の雲 (8) (文春文庫)
 司馬遼太郎坂の上の雲』第8巻。最終巻。1905年(明治38年)5月27日早朝、ついに対馬海峡に敵艦が姿を現した――
 最終幕は、日本海での決戦。ですが、中身は省略。この巻で面白いのは、ずばり「あとがき」です。単行本掲載時に書かれた6本と、島田謹二による解説。裏話を聞かなければならない小説など御免ですが、本書についてはどのような取材を経て物語が組まれていったのかを知ることができて興味深い。
 本書が執筆されたのは30年前。太平洋戦争が終わってから30年近くの時が流れた、昭和四〇年代のことでした。日本が戦争に負けたのは、かろうじて引き分けに持ち込んだという日露戦争の記憶を、わずか30年のうちに無くしてしまったから。そして、日露戦争明治維新から30年を経たところで起こりました。人間が歴史を忘れるためには、100年など必要ないということでしょうか。