小林立 『咲 -Saki-』〔5〕 ¿¡Caliente!?

 アニメ放映もはじまる中,原作でも盛り上がりを見せている小林立(こばやし・りつ)の『咲-Saki-』第5巻(ISBN:4757525176)。
 この巻には番外編「昨夏のこと」が収められています。その冒頭,ゆーき(片岡優希)が「あっづー」と言っているコマには “ Caliente! ” と添えられています。確かにこれは,スペイン語で「熱い」を意味するのですが…… 

 スペイン語には,温度が高い状態を表す形容詞として2つのものがあります。

  1. caliente (カリエンテ)
  2. calor (カロール)

文法的には「気温が高い」場合には calor を使うのが正しい。caliente は「熱いお湯」「熱いスープ」などの場合に用います。あと,スペイン語で感嘆文を作場合には語頭に!を逆さまにした記号を添えます(これがなくても通じはしますが見た目のスペイン語らしさが消えてしまう)。従って,真っ当に訳すなら 

¡ Qué calor ! (ケ・カロ〜ル)

となります。他方,「今日は暑い日だ」というつもりで caliente を用いてしまった場合,別な意味にとられてしまいます。

caliente : 火照ってきた(性的な意味で)

一般的には誤訳とされるのですが,タコス娘の場合,わざと言い間違えているのかもしれない。