水町勇一郎 『労働法改革の基盤とグランドデザイン』

 グローバルCOEが水町勇一郎先生を呼んで研究会を開催するというので参加。直接に関わりを持たないグループの主宰でありましたことから事前に挨拶を送っておいたところ「懇親会にも参加しませんか」とお誘いをいただいたので,夕食の席までご一緒してまいりました。が,その懇親会が(主宰者の慰労会を兼ねていて)大先生ばかりの中に居合わせることになってしまいました。一応ですが「講師」なので先生扱いしていただいた,ということのようで。
 さて,その研究会ですが,連合総研「イニシアチヴ2009」の最終報告書をもとに発表いただきました。

  1. 労使関係法制
    • 多様な労働者の意見を反映できる分権的なコミュニケーションの基盤を構築する
    • 地域や産業の特性を反映できる労使交渉システムの基盤を整備する
  2. 労働契約法制
    • 労働契約法の内容の豊富化を図る
    • 労働契約法や労働審判制のなかに集団的コミュニケーションの視点を取り込んでいく
  3. 労働時間法制
    • 長時間労働問題への対応を図る
    • 労働者の多様化に対応するために法制度の整理・再編を図る
    • 健康問題への組織的対応を図る
  4. 雇用差別禁止法制
    • 現行法制を抜本的に見直し,包括的な雇用差別禁止法制を制定する
    • 雇用差別を実効的に解決していくための法的基盤を整備する
  5. 労働市場法制
    • 労働者派遣,業務処理請負等の定義・区分を明確化し,実態に応じて法を適用するという観点から法制度を整理・再編する
    • 雇用形態に対して中立的な法制度となるような制度設計をする

報告の骨子は,鶴光太郎編著『労働市場制度改革』(ISBN:4535555788)に収められております。また,来週水曜日にシンポジウムを開催することになっており,然る後に研究委員会としての報告書を刊行する予定です。