塩野七生 『最後の努力』

 塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語(35-37)最後の努力』を読了。本巻では,ディオクレティアヌス帝ならびにコンスタンティヌス帝を扱う。前の巻の内容を失念してしまっていたので『迷走する帝国』も再読。
 北方の蛮族を退けた後,ディオクレティアヌスは「四頭政(テトラルキア)」を導入するも,これが続く内乱を引き起こすになる。分割統治体制というシステムは当時の状況を考慮すれば最適と思えるのに,権力の争奪という要素が運用段階で入り込むと,こういう結末を生むのか……と。物語としては理解できるものの,システムを期待通りには動かさないように振る舞う当事者の心情を理解できない私は,少なくとも政治家と経営者には向かないなぁ,と痛感。