関川夏央『汽車旅放浪記』

 大型連休は10連休でした。勤務校には遠方から来ている寮生が多いので,親元に帰省する便宜を図るべく休みを繋げているのだとか。
 最初の2日は釧路に居てお仕事をし,次の3日は札幌の実家でお仕事していました。法律家は判決文とパソコンと通信環境があれば何処でも仕事ができるのが良いところであり,ずるずると仕事を持ち越してしまう理由でもあり……
 今回の帰省で,引っ越しの際に運び出しきれなかった本9箱ぶんを発送してきました。帰りの列車では,搬送する荷物からはみ出していた関川夏央(せきかわ・なつお)『汽車旅放浪記』(ISBN:4101107157)を読んできました。
 本書は,列車による旅にまつわる短編を集めたもの。宮脇俊三乗りつぶしをなぞってみるものだったり,夏目漱石の作品から鉄道が登場する場面を拾い出してみるものだったり,内田百輭を紹介するものだったり。著者自身の旅行は一歩退いて,鉄路の上で先人達の足跡を探しているかのような印象。引用が多彩で興味深く読みました。