杉井光『終わる世界のアルバム』

 寒くなってきたので(暖房を節約するため)夜は早めに毛布にくるまって読書。表紙をみて,杉井光『終わる世界のアルバム』を読み始め,3晩で読了。
 人が少しずつ消えていくたび,残された者達の記憶も書き替えられ,消えた人はいなかったものとして作り替えられていく世界。そんななかで消えた人々の記憶を留めている少年が主人公。あるとき,クラスに女の子が1人増えていて――という設定。
 ん〜,評価しづらい。最初に読んだ杉井光の作品がこれであれば相当に印象が変わることと思う。どうにも既視感が先に立ってしまうのが困りもの。このヘタレ主人公と幼なじみ,前にも別な作品に出てこなかったっけ? みたいな。やるせなさが読後感を支配するのは,終末ものであることからくる必然だろうか。
 紡がれる言葉は,杉井光の持ち味が存分に発揮された端麗なものでした。
終わる世界のアルバム