『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』舞台マップ @クエンカ探訪

 NRT成田からAMSアムステルダムへ向かう機内で,『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』を観ました。通して視聴する機会を逸していたもので,これが初見です。
 登場人物名の言語的由来がバラバラなのは,混沌とした世界が舞台であることを提示しているものだと思われます。が,終盤で登場するローマ兵が話していたのがドイツ語で…… 〈通じない言葉〉が聞き取れてしまったので,私が混乱したり(^^; あと《フィーエスタ・デュ・ルミエール》ってスペイン語なのかフランス語なのかはっきりしなくて,むずむずする。 
 それはさておき,中心となって物語を支える柱の作り込みが失敗していたな,というのが率直な感想。結末において,一兵卒の奏でる音楽によって戦争が回避されるというのは,ちょっと解せない。それならばいっそ,搭乗兵器に密かに仕込まれていた緊急停止コードが《アメイジング・グレイス》だった――という奇蹟でも起こしてくれた方が未だ納得できます。その他にも,登場人物の行動原理に不可解なところが多くありました。例えば雪の中をやってきたローマ兵。伝承の舞台を観にいきたいという欲望があったにせよ,どうして敢えて軍事的緊張の高まっているときに? とか,軍服を脱いで変装して来るべきでは? とか。


 さて,スペイン滞在中,研究活動をしない(できない)週末であれば時間が取れそうでしたので,日帰りで『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の舞台となったクエンカ(Cuenca)に行ってきました。放映前の2009年9月にいちど訪問しているのですが,その時はたまたまお祭りの日で見られないところがあり,心残りもありまして……。
 2010年12月にはマドリードバレンシアの間に高速鉄道AVEが開通し,所要時間も1時間弱となりました。RENFE(スペイン国鉄)のウェブサイトで購入したeチケットを印刷して持っていくだけで済むようになり,購入手続も楽になりました。ところがです。時刻表を見てみると,クエンカには在来線とは別にAVEの新駅ができたらしい。この新駅の情報が見当たらなかったのです。着いてみれば荒野の中にぽつんと出来た駅でして,これをクエンカというのは無理があるような場所(例えて言うなら新青森駅)。町歩きの最中に《緊急事態ヲ宣言ス》るはめにならないよう駅のトイレに寄ってから出たところ,連絡バスが走り去ってしまいまして…… そもそもバスの時刻表も貼っていないという。タクシーも皆無。これはもう約4kmの道を歩くしかないか――と決意したところで次の連絡バスが来て事なきを得ました。今後AVEを使ってクエンカへ出かけられる方,新駅はかなり不便ですのでご留意ください。


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 あとはもうひたすら,18時52分発に帰りの普通列車が出るまでの約9時間,ひたすら歩き回って場所の確認をしました。それで分かったのは,『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』では良く言えば背景を上手く加工して使っている,悪く言えば作品の中での組み立てと実際の位置関係とが大幅に違っていて探訪が無茶苦茶大変,ということでした。それでも『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』を追いかけて歩いたお陰で,前回は足を踏み入れなかった横道に入り込み,絶景を眺めることができました。