リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

 リンダ・グラットン(Lynda Gratton)『ワーク・シフト:孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』を読了。
 働き方の未来を形作る5つの要因〔第1部〕については特に異論はない。しかしながら,そこから導き出される働き方の3つの〈シフト〉〔第4部〕になると苦々しく読んだ。著者がロンドン大学ビジネススクール教員であるせいか,アングロサクソン的エリートにしか適用できないのではないかという節が強い。上位2%に相当する人材については著者の指針に従って生きてもらうとしよう。では,残りの98%にあたる大衆はどのような働き方を描くのか? さらに,格差の拡大を是正する政治の役割というものが一顧だにされていないのも本書の難点だろうか。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉