Londres (4)

 ♪あさ〜 朝だよ〜 朝ごはん食べて、観光いくよ〜

 今日は、イングリッシュ・ブレックファスト。といっても、ベーコン・エッグとソーセージが加わるだけなんですけれどね……。
 この3日間、昼食はまともに食べてません。スーパーで買っておいたパンを、歩きながらかじっていました。見て歩くのが楽しくてそれどころではなかったとか、物価が高くて飲食店に入れなかったというのもありますが、何より食欲が湧いてくるお店に出逢わなかったのですよ。現地の人の様子を見ていると、サンドイッチ屋さんでスープと一緒に買っている人が多かったです。昼は手早く済ませるあたり、日本人の行動様式と似ていますね。昼食に少なくとも1時間をかけ、たっぷり食べるスペインとは正反対。私は、漂ってくる匂いで店の良し悪しを判断しているので、香りがしないサンドイッチだと素通りしてしまいます。
 09時06分、ホテルを出発。残金が心許なくなってきたので、国際キャッシュカード*1で預金を引き出す。昨日と今日で合わせると£150。最初に持ってきた分をあわせると、これでJPY換算51,350円。嗚呼、UKポンドはヘリウムのように軽く、ヨウ素のごとく空気にとけていく。
 09時43分、Bank駅で地下鉄(tube)からドックランズ・ライト・レイルウェイに乗り継ぐ。ロンドンの南東部を走る軌道交通です。全自動制御らしくて運転席はなく、先頭は展望席になっていました。気になったのは、CanaryWharf駅の前後。駅と駅の間隔が50mほどしか無いんですよ。3つの駅をぜんぶ繋げても、山手線のホームより短いんじゃないかなぁ。
http://tfl.gov.uk/dlr/
 10時15分、カティー・サーク(Cutty Sark)駅で下車。目指すは旧王立天文台(Old Royal Observatory)、いわゆるグリニッジ天文台です。小高い丘の上に建てられていて、眼下にはテムズ川の流れを見ることもできます。ここを経度0度とすることが1884年に決められたのは知られているところですが、その中に据えられた8インチのレンズを持つ大望遠鏡(1848年製造)こそ本初子午線(the Prime Meridian; Longitude 0゜)の在処。通常、天体観測用の巨大望遠鏡はドーム内に収められ、全天を見渡せるようになっています。ところが此処にあるものは南北方向、すなわち上下の向きにしか動かないのです。まさに経線を考えるためだけに創られた代物。ちょっと感動。
http://www.rog.nmm.ac.uk/
 11時31分、丘の下にある国立海事博物館(National Maritime Museum)にも足を運ぶ。ネルソン提督の遺品が陳列されていますが、まぁその程度。
http://www.nmm.ac.uk/
 12時11分、帆船カティー・サーク号の周囲をひとまわりしてから、再び鉄道に乗車。
http://www.cuttysark.org.uk/
 13時07分、オックスフォード・サーカス駅で下車し、リージェント街をそぞろ歩き。一昨日は囲いに覆われていたエロスの像も、今日は平常営業。
 13時49分、そのまま南下しナショナル・ギャラリー(The National Gallery)へ。トラファルガー広場にある美術館です。まず最初に西翼ギャラリー(16〜17世紀)を見て、それからセインズベリー館(13〜16世紀)へ。
――うおおおおぉぉぉぉ〜〜っっ *2
こ、此処は素晴らしすぎますっ! プラド美術館マドリード)に規模で劣るものの、収蔵品の質は負けていません。国と時代のバランスがいい。たまらなくなってミュージアム・ショプに駆け込み、日本語版ガイドブック2種類を購入(£9.95+£1.5)。
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 私の鑑賞の仕方は、まず部屋の中央に入って遠目に眺め、心に響くものが無ければそのまま素通り。気に入ったものがあれば題名と作者を確認し、それから細部を見ます。絵の前で足が止まり動けなくなったのは、ボッティチェリ(58室)、カルロ=クリヴェリ(59室)、アンドレア=マンテーニャ(61室)、ティツィアーノ(10室)。「有名な人の絵だから名画」なのではなく、「良い絵を残したから有名になった」という当たり前のことを、まざまざと再認識。
 北翼ギャラリー(17〜18世紀)はプラド美術館と重なるものが多くて、一見して作者がわかるものが結構ある。やはりレンブラント(23室)、ルーベンス(29室)、ムリーリョ(30室)は良い。他にはクロード=ロラン(15室)、アントニー=ヴァン=ダイク(31室)などに感嘆。
 それが東翼ギャラリー(18世紀〜1900年)になると、ほとんど興味なし。モネもルノアールゴッホも、技巧に走っただけのように見える。写真の出現が美術史を変えたということは理解できても、共感はできませんでした。感銘を受けたのは、ヴィジュ=ル=ブラン(33室)とカナレット(38室)の2点。
 時間が許せば、じっくりガイドブックと照らし合わせながら見て回りたかった。ここには再来したい。
http://www.nationalgallery.org.uk/
 15時50分、ヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria & Albert Museum)へ。工芸品と装飾品を集めたところです。これまた収蔵品が多く、すべてを見尽くすことなど無理。なんでも通路の全長は13kmあるとか。金属工芸ということで柵(114室)まで展示しているんですよ(^^; 上の階までぶち抜いて門柱(46室)があったのにはア然としました。英国関係に重点を置いて見てきたのですが、それだけでも大満足でした。17時19分、退出。
http://www.vam.ac.uk/
 17時40分、ウェストミンスター寺院Westminster Abbey)に駆けつける。セント・ポール大聖堂(St. Paul's Cathedral)の前にある観光案内所に立ち寄ったときに「毎週日曜日の17時45分から無料オルガン・コンサートがある」という情報を仕入れてあったんですよ。あ、オルガンとはパイプオルガンのことです。私、オルガン音楽が大好きなので、これは外したくなかったん。奏者(Andrew Reid)の腕も音場も最高級でしたが、選曲(Complete Organ Works, Maurice Durufle)が悪かったのが惜しまれます。
http://www.westminster-abbey.org/
 19時10分、コヴェント・ガーデンにあるレストラン『ポーターズ』へ。滞在の最終夜ということで、おいしいものを食べてきました(£16)。

*1:私のはスペインのBBVA発行。日本なら、新生銀行シティバンクが同種の機能を付加しています。

*2:ここは『まほろまてぃっく』を参照のうえ、大江千鶴子(真田アサミ)風にお読みください。