2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

舞城王太郎 『煙か土か食い物』

舞城王太郎(まいじょう・おうたろう)『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』*1読了。 とてつもなくクセのある文体。勢いで突っ走る。読点(、)を削ぎ落とし改行も極限まで切りつめる。ストーリーは……あまり記憶に残っていないし,それを述べたとこ…

乙一 『死にぞこないの青』

乙一 『死にぞこないの青』(ISBN:4344401638)を読む。 小学五年生に進級したマサオの担任になったのは,新卒の羽田先生。マサオが引っ込み思案なせいで,飼育係を決めるときにちょっとしたトラブルが起こる。ほんの些細なことだったのに,マサオは“問題児”…

大学院はてな :: 配転と家庭生活上の不利益

edu

研究会にて,ネスレ日本事件(大阪高判・平成18年4月14日・労働経済判例速報1935号12頁)の検討。以前,取り上げたことのある事件(id:genesis:20051008:p1)の控訴審。 配置転換については労働者にとって不利な判断になる傾向が強いが,本件は第一審に引き…

森見明日 『この醜くも美しい世界』

森見明日(もりみ・あした)『この醜くも美しい世界』全3巻。2004年4月期に放映されていた同名アニメ(製作はGAINAX)との連携作品。 ISBN:4592132610 ISBN:4592132629 ISBN:4592132637 アニメの方は知らない(留学中で日本に居なかった)のでマンガ単独で判…

塩野七生 『ルネサンスとは何であったのか』

塩野七生(しおの・ななみ)『ルネサンスとは何であったのか』(ISBN:4106465019)読了。 塩野の著作は色々読んだけれど,これが今のところ最高傑作だと思う。 以前,学習塾に勤めていたときのこと。面談で勉強方法について話をする(で,何とかウチの塾に入…

『ローズ・イン・タイドランド』

同じ映画館で上映されていた,テリー・ギリアム(Terry Gilliam)監督の『ローズ・イン・タイドランド(Rose in Tideland)』を続けて観ました。 http://www.rosein.jp/ もう,「すごい」の一言。なんか言語中枢をヤラれてしまって,どう表現したらいいのや…

映画版 『笑う大天使』

シアターキノにて,川原泉原作の映画『笑う大天使(ミカエル)』を観る。 http://www.michael-movie.com/ 以下,ネタバレを含みます。 失敗作。 ものすごく「嘘っぽい」造りです。でも,それが悪いわけじゃない。開始早々,いかにも合成しました〜という学園…

青池保子 『修道士ファルコ』

青池保子(あおいけ・やすこ)『修道士ファルコ』*1。雑誌連載時に幾つかのエピソードを目にしていたのだが,文庫版を買ってきて通し読みした。 時は14世紀後半。スペイン北西部ナバーラの王家に繋がる男が主人公。彼は剣を捨て,シトー派の修道士となる。そ…

07th Expansion 『ひぐらしのなく頃に』

『ひぐらしのなく頃に解』第8話「祭囃し編」。およそ13時間をかけて読み終える。シリーズ完結。 ファンタジーとしては,あまりに無邪気で。*1 フィクションとしては,あまりに無防備で。 エンターテイメントとしては,あまりに無辜(むこ)で。 それは,無垢…

『ひぐらしのなく頃に』〔8〕

07th Expansion『ひぐらしのなく頃に解』第8話「祭囃し編」。 18:05 MKにて購入。 20:00 インストール作業。まず NSDEC で展開し,分量を調べる。第1〜4話が 3,434kb だったのに対し,第5〜8話は 4,732kb(制御コードを含んだ状態。ベタテキストにすると,…

〈脱セカイ系〉の諸相 ―― 相田裕 『GUNSLINGER GIRL』〔7〕

相田裕(あいだ・ゆう)『GUNSLINGER GIRL』第7巻(ISBN:4840235325)を読む。 前巻において義体の〈二期生〉として登場したペトルーシュカ(とその担当官アレッサンドロ)。この新たなフラテッロによって,作品の方向性が変化を起こしてきています。第6巻の…

神坂一 『スタンプ・トゥ・キル』

神坂一(かんざか・はじめ)「スレイヤーズすぺしゃる」第27巻『スタンプ・トゥ・キル』(ISBN:4829118393)。 口絵に違和感。なんで,今さら人物紹介? 読了したところで,なんか足りないような気がするので,ちょっと思案。 ――そっか,今回は「ほーっほっ…

内田洋子 『イタリアン・カップチーノをどうぞ』

法学部の建物が先月末をもって閉鎖された。耐震補強工事をやるとかで,教授から院生に至るまで全員が研究棟から荷物をまとめて退去。それで自宅に荷物を持ち帰ってきたわけだが…… 本が多すぎる。従前「悪くないもの」は取っておいたのだけれど,基準を上げて…

大塚英志 『更新期の文学』

すさまじく荒れてます。内容も,文章も。エッセイ仕立てでブンガクを論じているというか,わめき散らしているという体たらく。しかも怒りをぶつける相手が不明瞭で,何に対して怒っているのか,問題認識が伝わってこない(書かれてはいるのだけれど)。時折…

奈須きのこ 『空の境界』

公務員試験予備校から夏期講座での出講依頼があり,昨夕から一泊で札幌から釧路へ出張。距離にして348.5km(熱海〜米原を東海道本線に乗るのと同じくらい)。特急列車に片道4時間も乗っていなければならないのは,でっかい苦痛です(これでも北海道内を少し…

塩野七生 『ローマの街角から』

塩野七生(しおの・ななみ)『ローマの街角から』(ISBN:4103096268)読了。1994年から1999年にかけて雑誌『フォーサイト』に掲載されたコラムの集成。掲載誌の性格からか,政策提言的な発言が多い。そして後書きでは,「どれ一つとして聴き容れられていない…