乙一 『死にぞこないの青』

 乙一死にぞこないの青』(ISBN:4344401638)を読む。
 小学五年生に進級したマサオの担任になったのは,新卒の羽田先生。マサオが引っ込み思案なせいで,飼育係を決めるときにちょっとしたトラブルが起こる。ほんの些細なことだったのに,マサオは“問題児”として扱われるようになり――
 主人公の受ける理不尽な仕打ち。劇的なものではないが,じわじわと圧迫される。読み進めるうち,どんどん不快な気分になる。静かに湧き起こるドス黒い負の感情を巧妙に喚起してみせる作品だ。