2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

オルガスマシン

イアン・ワトスン(Ian Watson)『オルガスマシン(ORGASMACHINE)』(2001年,ISBN:4877344586)。玄鉄絢『少女セクト』において登場人物が読んでいた本として紹介されていたのだが,「作者曰く,ハードコア・ウーマン・リブ小説だそうである」(80頁)とい…

フロイト=ラカン

新宮一成(しんぐう・かずしげ)=立木康介(ついき・こうすけ)編『知の教科書 フロイト=ラカン』(ISBN:4062583305)を読む。 この本からは,〈分かってもらおう〉という意欲が伝わってこない。どうしてなのかを考えながら頁をめくっていたところ,どうや…

萌え四コマの特性

http://blog.livedoor.jp/sweetpotato/archives/30765705.html id:SweetPotato さんによる最終取りまとめ。 私はこれらの定義を融合して修正を加え、「萌え4コマ」の特性を以下のように与えたいと思います。 (中略) ここで「定義」ではなく「特性」とした…

カーニヴァル化する社会

鈴木謙介(すずき・けんすけ)『カーニヴァル化する社会』(ISBN:406149788X)を読む。講談社現代新書の表紙は改悪です。 現状認識については悪くない。しかし,理論化に失敗している。 冒頭,50頁まではとても面白い。第1章「〈やりたいこと〉しかしたくな…

マテュー・マニュゼスキ

14時より,札幌コンサートホールKitaraにて,マテュー・マニュゼスキ(Matthieu Magnuszewski, 1981-)フェアウェルオルガンリサイタル。 よりによって同じ中島公園が同じ時間帯にマラソン大会のゴール地点になっていて,辿り着くまでにひどく苦労した。 N.d…

ルーヴル美術館の楽しみ方

ムックの上品な味わいを楽しんだところで,こってりしたものも欲しくなった。そこで,赤瀬川原平(文)+熊瀬川紀(撮影)『ルーヴル美術館の楽しみ方』(1991年,ISBN:410601999X)を読む。こちらはエスプリが効いていて実に面白い。バランスなどそっちのけ…

ルーヴル美術館

『別冊太陽 ルーヴル美術館』(2005年,ISBN:4582944825)を眺めて楽しむ。 写真の質がとても良い。画集として満足のいく出来映え。絵画が末尾に置かれており,オリエント/イスラム/ギリシア・ローマ・エトルリアに力点が置かれているのが特徴だろうか。彫…

スペイン「ケルト」紀行

古代のヨーロッパ中央部を席巻していた民族,ケルト人(ガリア人)に興味が湧いてきたので,積み上げてあった蔵書の中から武部好伸(たけべ・よしのぶ)『スペイン「ケルト」紀行――ガリシア地方を歩く』(2000年,ISBN:4882026473)を探し出して読む。 まず…

パクス・ロマーナ

塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――パクス・ロマーナ』を読了。 権力基盤を手中に収めたオクタヴィアヌスが,国父アウグストゥスとして帝政ローマの礎を築いていく時期について。 初代皇帝という後世からの呼び名とは裏腹に,派手な振る舞いが見…

玄鉄絢 『少女セクト』

http://blog.livedoor.jp/yuri_amagasa/archives/30503809.html (百合な日々 :: 雨傘さん) こちらで絶賛されていたので,玄鉄絢(くろがね・けん)『少女セクト』(ISBN:4877348824)を買い求めてきた。 なるほど,これは秀作です。 分類してしまうと,女…

大学院はてな :: 刑事裁判の被告って?

edu

本日放映のクローズアップ現代 『法廷で訴えたい 〜犯罪被害者 遺族の声〜』 を観ていて気になったこと。番組の最初の方で,「法廷の左側に検察官が,右側には被告と弁護士が座ります」という場面がありました。 ――どうして「被告」なん? 「被告人」でしょ?…

極楽スペイン/ポルトガルの暮らし方

書店で海外紀行の棚を眺めていたら,見覚えのある風景が。これ,バレンシアの市役所広場にある噴水だよ! そんなわけで表紙買いしてきたのが,東佐智代*1+日高充子*2『極楽スペイン/ポルトガルの暮らし方』(山と渓谷社,ISBN:4635240851)。 表紙をめくる…

ヒトラー 〜最期の12日間〜

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を観てきました。 いい映画でした。政治的な意味合いで取り上げれば色々と言えるでしょうけれど,私はそういう語り方をするつもりはありませんので……。人間の織りなすドラマが最も端的に表れる戦争を描いた,手堅い映画だとい…

symphonic rain, unaccompanied suites

舞台探訪 工画堂スタジオ(くろねこさんちーむ)『シンフォニック=レイン』*1にて登場する場面に,イタリアの光景を重ねてみる。 http://symphonic.g.hatena.ne.jp/genesis/20140505/p1 来月末,乗り継ぎのためにローマへ立ち寄る予定があるのだけれど,残…

大真面目に休む国ドイツ

労働契約法制についての研究書を共著で出さないか,という話がありまして。私のところには,労働時間規制についての議論状況を整理するという役割が回ってきました。それで,まずは学説・判例を離れ,周辺状況をさらっているところ。 で,手当たり次第に集め…

「萌えの入口論」短評

http://www1.kcn.ne.jp/~iz-/man/enter01.htm いずみの(id:izumino)さんによる「萌えの入口論」。 一読したところでは欠点が見えてこない。多方面に目配りが行き届いている。永山薫へのリスペクトを表明しているだけあって,特にセクシャリティの議論が手…

ユリウス・カエサル ルビコン以後

勢いに任せるまま,塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――ユリウス・カエサル ルビコン以後』を読了。 紀元前44年3月15日,カエサル暗殺さる。あまりに淡々とした叙述に驚く。塩野は次のように述べ,シェイクスピア(すなわち16世紀末の英国人)は共…

ユリウス・カエサル ルビコン以前

塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――ユリウス・カエサル ルビコン以前』を読む。 冒頭では,前巻の繰り返しになる内容を,カエサルという人物からの視点で叙述し直す。そこで語られるのは,共和制ローマ(元老院体制)の綻び。ここで登場する人物…