ユリウス・カエサル ルビコン以後

 勢いに任せるまま,塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――ユリウス・カエサル ルビコン以後』を読了。
ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫) ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫) ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)
 紀元前44年3月15日,カエサル暗殺さる。あまりに淡々とした叙述に驚く。塩野は次のように述べ,シェイクスピア(すなわち16世紀末の英国人)は共和制末期のローマ人とは別の価値観に立っていたことを示す。

 このブルータスが高い評価を受けるようになるのは、コスモポリスであったローマが崩壊して一千五百年の後に都市国家(ポリス)を再建することになる、イタリアのルネサンス人によってである。『ジュリアス・シーザー』も、イギリス・ルネサンスの人シェークスピアの作であった。

 その後13年に渡る内乱を経て,カエサルが後継者に指名したオクタヴィアヌスが権力闘争に打ち勝ち,初代皇帝アウグストゥスとして立つところまでが本巻。「帝政を確立した人物」が,天才カエサルに比べれば弱点の多い人であったこと,そして,その弱点を埋め合わせていったのかが興味深かった。