ルーヴル美術館の楽しみ方

ルーヴル美術館の楽しみ方 (とんぼの本)
 ムックの上品な味わいを楽しんだところで,こってりしたものも欲しくなった。そこで,赤瀬川原平(文)+熊瀬川紀(撮影)『ルーヴル美術館の楽しみ方』(1991年,ISBN:410601999X)を読む。こちらはエスプリが効いていて実に面白い。バランスなどそっちのけで〈変わったもの探し〉に明け暮れる。まず,流血シーンをコレクション。それから床。絵の中に書き込まれた「水滴」に,大理石に彫られた「紙」。極めつけは,画集には絶対に登場しない〈ヒビ〉探し。よくもこれほど斜に構えられるものだと惚れ惚れする。粋だ。絵画が好きではない人でも,きっと美術館に行きたくなるような本。