大学院はてな :: 中間団体論

 社会保障法研究会。ふと「社会保険の費用が労使折半であることを、どう説明するのか?」という話題が出てきた。この質問を論じているうちに、どうやらアメリカ型の価値観による疑問攻撃にヨーロッパ型の価値観がさらされているのではないか、ということに。欧州では、企業は社会に関わる存在であるということを所与の前提とするが、これは歴史的な「伝統」に基づくもの。それを、アメリカのように原理的な資本主義の思考から捉えられると、企業に負担を求めている健康保険組合医療保険)や厚生年金(老齢年金)の旗色が悪くなる。
 日本は、長らくヨーロッパ的価値観を受け入れてきた。国家と国民の間に位置するものとして「社会」あるいは「企業」という中間団体が存在していたのである。昨今は、それがアメリカへとなびく(国家と国民が直接に対峙する)方向へ動いている。
 で、研究会での論議はどうなったか。「我々くらいは中間団体を守る理論を立てていかないとねぇ」ということで締めくくられました。