スイス旅行記 (1/5)

Barcelona

 ホテル“Rey Don JaimeI ”をチェックアウト後、カタルーニャ広場にある銀行(BBVA)で預金をおろし、8時15分発の空港行きバスに乗る。バルセロナ(イル・プラット)空港では、IBイベリア航空のカウンターは中央のBターミナルにあるのですが、搭乗口はCターミナルの最も西端。しかも、そこからバスに乗り、Aターミナルの東端よりさらに先に駐機している航空機に乗り込むという、効率などまったく考慮していない動線
 9時55分発のIB4494便の搭乗率は3割程度。わずか1時間25分のフライトなのですが、軽食でサンドイッチが出てきました。定刻11時20分に到着。

Geneve

 空港内のUBS銀行で両替。200ユーロが、296.50スイスフラン(以下SF。なお、CHFと表記される場合もある)でした。日本円換算だと、SF1 = EUR0.67 = JPY88 ですか。面倒くさいことやってますが、最近はユーロ建てで生活しているので……。日本円からの直接交換だと、85円くらいだと思います。
 まずはジュネーブの中心部、コルナヴァン駅へ。駅構内のコインロッカーに荷物を収納して身軽になり、街へ繰り出す。右に出て、左に曲がって、真っ直ぐ進むと5分ほどでレマン湖に出ました。イギリス公園(Jardin Anglais)の花時計(Horloge Fleurie)の前でバスを見かけたのですが、ちょっと変わっていました。なんと、電気式なのです。鉄道に詳しい人なら、1本ポール式の市電みたいなのといえば分かるでしょうか。後に、ヌーシャテルでも同じ構造のものを見ましたのが、たぶん市電が走っていたときの設備を流用したものと思われます。でも、ゴムタイヤをはいているバスが電線にぶらさがって走る様は、見慣れるまで奇異に映るものです。
 そこから坂を登り、緑青の吹いた緑色の尖塔が特徴の大聖堂へ。ところが、途中で雨が降り出したため、教会の位置を確認して中心部へ引き返す。途中、哲学者ルソー(Rousseau)の像を見てきました。時に13時40分。経験上、旅が楽しくなくなるのは、(1)空腹、(2)重たい荷物、(3)雨具を忘れたときの降雨、(4)非衛生的な宿泊施設、(5)金銭欠乏、――です。これはいけない、と昼食をとることにしました。しかし、初めて来たところなので、飲食施設をかぎ分ける嗅覚が働かない。お手軽なところで、サンドイッチ店に入りました。
 “ボンジュール”
 おおっと、いきなり店員さんのフランス語攻撃です。ちなみに筆者、フランス語は3日勉強してあきらめた経歴の持ち主。「フランス語は綺麗」と言う人がいますが、私に言わせれば母音のはっきりしない気色悪い言語なのです。しかし、ここでめげてはなりません。メニューをスペイン語で読み上げて、無理矢理注文します(笑) あと、飲み物も。代金は、サンドイッチがSF7.9、清涼飲料水がSF2.9だから、合計してJPYに換算すると……
 1,390円 !? (ぉぃぉぃ)
 物価の安いスペインとの比較する気は起きませんが、スイスは想像を絶する物価高。これは、かなり引き締めてかからねばなりません。余談ですが、日本は物価が高いと言われますけれど、高いのは住居費と公共交通料金であって、飲食費は結構安いんですよね。100円でおにぎりが、300円出せば牛丼が食べられますから。
 もったいないので、じっくり噛み締めて味わっている内に、小降りになってきました。雨は「嫌いじゃない」のですけれど、ここ3か月間に1度も雨に降られていなかったので、すっかり傘のことを忘れていたのでした。レマン湖の遊覧船に乗ろうと思ったのですが、「お客が少なくて、運休なの」と言われて頓挫。次の便が出るまでのあいだ、市内観光を続けることになりました。
 ということで、先ほど門の前までやってきたサン・ピエール大聖堂(Cathedrale de St.Pierre)へ。ここは宗教改革を指導したカルヴァンゆかりの地で、隣には彼が神学講義を行ったというカルヴァン講堂(Auditoire de Calvin)もあります。しかし、観光としては54mの高さがある北の塔を見逃すわけにいきません。SF3.5を払い塔の上に昇ると、ジュネーヴ市街とレマン湖を見渡すことができます。あいにくの曇り空で遠方は望めませんでしたが、晴れていればさぞかし美しい景色であることでしょう。
 次は、宗教改革記念碑(Monument de la Reformation)です。かれこれ12年の間、社会科の講師として収入を得てきて、16世紀の世界史は少なからぬ回数講義しましたので、ここまで来たからには見ておきたいな、と。地図で見ると、大聖堂から100mほどの所です。
 ところが見あたらない……。広場はあるのですが、それらしきものは無いのです。しかし、私の方向感覚と読図能力は、この方角で間違いないと告げています。この広場、高台になっていたので、崖の下へと降りてみました。道路がありましたが、それも渡って下へ。するとそこに、ようやくお目当てのものがありました。まぁ、等高線のない観光ガイドの地図だからね。
 モンブラン広場(Pl. de MontBlanc)の船着き場へ戻り、こんどは無事に乗船券を確保。レマン湖の遊覧船ツアーを開催しているのは2社あるのですが、駅側のCGN社ではなく、スイスボート社の15時30分発シレーン(Sirene, 人魚)コースににしました。SF12で、乗船時間は1時間15分。同乗したのは、インド人の御一行40名様(汗)
 レマン湖の湖岸には資産家の別荘が建ち並んでいて、それを眺めていくというものです。確かに素敵な家なのですが、中産階級の庶民が見てもねたみ&そねみの種にしかなりません(笑) 人魚のブロンズ像まで行って折り返してくるのですが、これにしても白々しい。終盤にはUN国際連合ヨーロッパ本部とか WTO世界貿易機関といった国際機関の施設群を見ることになるのですが、法律家からすると単なる大きなお役所でしかない。いまひとつ盛り上がりません。決して悪くはないのですけれど、自然遺産としては観光地化が進みすぎているし、人類の歴史遺産としても中途半端かな。
 ここでジュネーヴを後にします。ヌーシャテルまでの往復切符をSF69で購入し、17時48分発の急行列車に。このとき、窓口で何か聞かれたけれど分からなくて適当に処理してもらったのですが、どうやらヌーシャテルに行くには2経路あって、どちらにするかという問いかけだったようです。渡されたのは直行便(via Renens)でしたが、ローザンヌ(Lausanne)経由もありました。ニヨンを通り、およそ1時間20分で目的地ヌーシャテル(Neuchatel)へ。

Neuchatel

 簡単な地図しか持ち合わせていなかったのですが、どうにかホテルに到着。ネットを駆使して見つけた**2つ星ホテル“Hotel des Arts”です。それでも、共同シャワーのシングルが1泊SF87(7,670円)します。しかし! 部屋に入って、ちょっと感動。80年代モダンでまとめられた、それはオシャレな部屋だったのです。ヌーシャテルに行くなら、ここはお薦めです。駅からSF1で乗れるケーブルカーがあって、それで市街地に着くとすぐ目の前なので交通至便。
 かなり暗くなってきていたのですが、とにかく食料と水を確保しないといけません。コンビニエンス・ストアなどないので、買いそびれるとレストランで思いっきり高価な費用を払うか、さもなくば飢えを耐え忍ぶしかありません。すでに一般の商店は閉まっていたのですが、駅の構内に06時から22時まで休業日なしで営業する食品店がありました。ここで、水、缶ビール、ぽてち、ワッフルを購入。
 で、物価の話をいちいちしているとキリがないのですが、どうしてもこれは言いたい。SF2.9(255円)のビールは許せる。しかし、ポテトチップスがSF4.6(405円)というのは納得いきません〜

 買い物に行く途中に驚いたこと。道路を渡ろうとして、自動車が通り過ぎるのを待っていたのですが、横断歩道の前で停まるのです。クルマが。それが、1度ならず、滞在中ずっと。平和だなぁ。スペインだと、信号の色と通行の可否は連動していないので、どうぞご注意を。