Modernismo

 バルセロナ市内のモデルニスモ建築をまわってきました。モデルニスモというのは、1880年頃から1920年頃までの期間、急速に工業が発展して都市に活気がみなぎっていたバルセロナにおいておこった建築の潮流です。

 まずカサ・バトリョ。ご存知ガウディの作。ふだんは入れないのですが、2002年にガウディ生誕150年を記念して「期間限定」ということで公開され、大好評を博して2003年末まで延長されました。今でもアパートとして使われ住人がいますので、恒久的な公開には踏み切れないということなのでしょう。そんなこともあって、写真撮影禁止となっています。壁の青色タイルが、ものすっごく綺麗。こんな家に住める人達がうらやましい。

 そして、カサ・バトリョの左隣に建つカサ・アマトリェール。こちらは、かわいそうと言う感じがします。隣がガウディ建築であるがために、割りをくってしまっていて。単独で建っていれば、もっと評価されたであろうに。

 角を曲がると、アントニ=タピエス美術館として使われているモンタネール・イ・シモン出版社。ドメネク=イ=モンタールの作。たわしにも見える針金の束を屋根の上に乗っけてしまう豪快なことをやってくれています。

 南下して、カタルーニャ音楽堂へ。ここで私は、自分の至らなさを思い知りました。こんなにも素晴らしい建物を、未だこの目で見ていなかったとは。1997年にユネスコ世界遺産に登録されたのも納得がいきます。中の見学は、近いうちに改めて訪ねるつもりなので今日は簡単に下見。

 それから地下鉄で、サン・パウ病院へ。こちらもドメネクの作で、同じく世界遺産に登録されています。これまた素晴らしい。ここを見た人が「入院したくなる」と言っていたのも、うなずける話。レンガづくりの瀟洒な建物が並ぶ様子は、バルセロナに来たなら見ておく価値があります。どことなく、時期的に一致する東京大学本郷キャンパス北海道大学の構内を思い出してしまうのですが……。それにしても、ドメネクに対する観光ガイドの評価はあまりにも低い。不当といっても言いかもしれません。確かにガウディのような斬新さには欠けますが、その緻密な仕事ぶりを見ると、もっと賞賛されてもいい人物と思えました。