氷が溶けて血に変わるまで

 きづきあきら氷が溶けて血に変わるまで』(ISBN:4901978187)読了。「まんが王倶楽部」の新刊案内をみていて、どうも引っかかるものがあったのが手に取ったきっかけ。
http://www.mangaoh.co.jp/topic/topic0402.php
 装丁を見ても、上手い絵とはいいがたい。本を開いてみたとしても、いわゆる「萌え絵」とは対極的な絵柄で、まるで切り絵細工を見ているよう。しかし表紙帯に添えられた一言 《胸をえぐる透明なナイフ》 というのが、実に良く本書を象徴しています。絵が、台詞が、荒々しく突き刺さってくる。
 この本に流れるものは、粉雪のように冷たく柔らかな血。もっとも、主題の選択については、少々こなれていないという印象もある。この次に何を描いてみせてくれるのかが楽しみな作家である。