Bilbao/Gernika

 海外在住日記。3泊4日で(スペインの)国内旅行をしてきました。バスク、ナバーラ、アラゴンの縦断です。
 まず、11時40分VLCバレンシア発のエアーエウロパUX9501便で、BIOビルバオへ空路で移動。早期割引を使って、片道46.56ユーロ。所要1時間15分。ビルバオ空港は、新しく快適な造りの空港でした。建物を出て右手にある乗り場からバスに乗り、中心部へ移動。1ユーロ。
 北部のビスケー湾沿いは雨が多いため、いわゆるスペインから連想される風景とは違っていると聞いていたのですが、緑が多くて別な国に見えます。しかも、バレンシアより気温が10度ほど低いんですけれど…… 雨まで降っているし(^^;) 気温30℃を想定して荷造りしてきたので、肌寒いくらい。
 ビルバオ(Bilbao)は、バスク州の中心都市。人口38万人。かつては鉄鉱石の産地として知られ、鉱工業を中心に発達を遂げました。そのため経済力が強く、スペイン最大手のBBVAビルバオビスカヤ・アルヘンタリア銀行発祥の地でもあります。
 バスはフェデリコ・モユア広場(Plaza de Federico Moyua)に到着。まずは荷物を預けに、アバンド駅(Estacion de Abando)へ。大通りに沿って歩くと10分ほどの距離なのですが、沿道の建物がおしゃれ。家々に出窓が取り付けられているのです。通風を優先に考える他の地域では見かけないですね。おそらく冬の防寒ということで、窓を二重にしているのでしょう。どの建物も良く整備されていて、街作りにお金をかけているのだろうなぁと推測されます。
 アバンド駅の8番ホームにコインロッカーがあったので、荷物をしまい(3ユーロ)、市内観光に出発。っと、その前に昼食。駅構内のボカディージョ屋さん“Bocatta”で軽食をとる(4.70ユーロ)。先ほど来た道を引き返し、14時30分ビルバオ美術館(Museo de Bellas Artes Bilbao)へ(3ユーロ)。旧館には中世の宗教画や近代絵画を展示しており、なかなか質の高いものがそろっていました。新館の方は理解不能(というか、私が嫌い)な現代美術。よって、こちらは数分で退出。
http://www.museobilbao.com/
 それから川を渡り、対岸にあるデウスト大学(Universidad de Deusto)の建物などを見て歩く。どうも『地球の歩き方』は、地方都市の扱いが悪いですね〜 なんと、美術館を2つ載せているだけ。これは、あまりにひどい。交通機関の路線図も無いとは。現地で購入したガイドブックでは見どころとして紹介されているものが沢山あるのに。おかげで素晴らしい光景を見逃すところでした(これは明日のお話)。
 さて、ビルバオ川の左岸を歩いていくと、グッゲンハイム美術館を突き抜けるようにして橋がかかっている。で、橋脚を取り巻くように階段がある。階段があるってことは、昇れるっていうことだよね? グッゲンハイム美術館は、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)の設計による前衛的な建物が有名なので、これを橋の上から眺めると楽しそう。よし! と近づいてみると、なんとエレベーターがある。有料で、0.24ユーロ。なんか、料金収納のために配置している人の人件費を回収できない金額のような気がしますが、雇用の創出という点では見習うべきかも。2台あるうち、右側が美術館方面。ものの数秒ですが、やはり高いところから見ると綺麗。
 下り坂を降りていき、美術館前の観光案内所で情報入手。街の地図と、明日乗る予定のバスの時刻表を調達。
http://www.bilbao.net/
 16時、グッゲンハイム美術館の中へ。9ユーロで音声ガイド(英語)付き。
 すぐに出てきました。つまらないんだもん。展示物は、20世紀中葉のポップアートが中心。うわ、私、ダメです。見るに耐えません。現代美術を嫌悪している者にとっては、苦痛でしかありませんでした。ま、建物を見に行く価値はあると思いますけれど。
http://www.guggenheim-bilbao.es/
 美術館を出ると、LRTが走っているのが見えました。そういえば、ビルバオではつい最近、路面電車が復活したのでした。先ほどもらった地図を見ると、バスターミナル(San Mames)を起点にして川沿いを走り、美術館の横を通ってアバンド駅を経由し、アチューリ駅(Atxuri)に至るというもの。観光なら路面電車に乗るだけで巡れるのではないかというほどに、利用価値の高い結び方をしています。では、さっそく乗車。1回券は1ユーロ。土日祝日なら、1日乗車券が便利(3ユーロ)。乗る前には、改札機に通して時刻の刻印をしておくのをお忘れ無く。
 終点のアチューリ駅まで行ってみました。1912年に建てられた駅舎が、なかなか古びていて良い。ここはゲルニカ行きの鉄道の始発駅。駅舎を見るためとか、路面電車に乗るためだけに来てみても面白いでしょう。ただの細い路地がホームにになっています。なお、鉄道も路面電車も同じバスク鉄道(Eusko Tren)が運営しています。
 ビルバオの街でわかりにくいのは、公共交通機関の運営主体が入り乱れていること。バスク鉄道による鉄道2本と路面電車の他、地下鉄(Metro)が2本、サンタンデール(Santander)へ向かうスペイン狭軌鉄道(FEVE)、それに国鉄(Renfe)があります。出発前に交通情報が手に入らなくて困ったのですが、道理で……
 アチューリ駅からは、そぞろ歩きをしながらアバンド駅へ戻ります。ちょっと戻ったところにスーパー“Champion”があったので、飲み物を購入。停留所リベラ(Ribera)の前には、風格のある建物、サン・アントン教会(Iglesia San Anton)とリベラ市場(Mercado Ribera)が並んでいます。後者は、遠目にも黄色い派手な塗装が目を引きます。近づいてみると、ステンドグラスや柱頭に装飾華美の傾向があり、近代建築のお手本のような代物。これは!と思って調べてみると、やはり現地のガイドブックでは見どころ扱いになっていました。1930年、Pedro Izpizuaの建築だそうです。
 そこから旧市街の中へと入って教会と郵便局を見たあと、停留所アリアーガ(Arriaga)のアリアーガ劇場(Teatro Arriaga)の荘厳なたたずまいを見る。パリのオペラ座を模したもので、1886年から90年にかけ、Joaquin Rucobaの設計で建てられたもの。その対岸にあるFEVEのコンコルディア駅(Concordia)は1902年の建造で、モデルニスモ建築の特徴を存分に備えています。そのまま川沿いに歩いていくと、市役所の姿を正面に捉えることになります。1892年、同じくJoaquin Rucobaの設計。
 とまぁ、ビルバオは近代建築の見どころ満載です。日本で紹介されていないのはまずいんじゃないか、と思うくらい。近代建築というとガウディしか紹介しない『地球の歩き方』の悪いクセが如実に出てしまってますね。
 日も暮れてきたので、荷物を回収して宿へ。ビルバオでは催し物が開催されていたとかで『歩き方』に載っていたところは満室(そもそも4箇所しか掲載していないことの方が手落ちなのですが)。そんなわけで、ゲルニカ泊まりなのです。地下鉄ボルエタ駅(Bolueta)で、19時52分バスク鉄道(Eusko Tren)に乗り換え、20時37分着。ホテル・ボリーニHotel Bolina)へ。ダブルのシングルユース/TV付き/シャワー付きの部屋で、35.37ユーロ。

 夕食は、駅前にあったレストラン“Hang Zhou”*1 にて、アロッス・コン・トレス・デリシオッソス*2 とベヘターレス・サルテアードス*3 を食べてきました。デザートもつけて13ユーロでお腹いっぱい食べようとすると、レスタウランテ・チーノ*4 が手頃ですよね。
――脚注を見なければ、すごいところで、豪華な食事をしてきたように見えるかも(笑)

▼ 写真を加えた旅行記
http://barcelona.sociallaw.info/noreste/idx_ne.html

*1:杭州飯店

*2:具三種入り炒飯

*3:野菜炒め

*4:中華料理店