イタリア旅行記 (3/6)

 ローマ滞在3日目。

▼ ボルゲーゼ
 本日最初の目的地は、ボルゲーゼ公園(Villa Borghese)とボルゲーゼ美術館(Museo e Galleria Borghese)。17世紀の枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが造園した庭園で、彼の収蔵品を公園内にある館で展示しているもの。
 ホテルから歩いて出かけました。途中、トレヴィの泉スペイン広場を通りかかったのですが、午前9時台だと人も少なく、落ち着いて眺めることができました。スペイン階段を昇り、左手に進むと公園の入口。美術館へは10時ちょうどに到着。ここは予約を取らないと入れないということだったので、ウェブサイトで申込みをしておきました。
http://www.ticketeria.it/
 ところが、窓口に予約メールを印刷したものを差し出すと
「今10時だよ」
――と言われました。えぇ、そうですねと答えると
「入場時刻、過ぎてるんだけど」
 どうも予約確認書の文言の解釈で相違があったらしい。

Time slot ( Entrance - Exit ) : ( 09:00 - 11:00 )

この文章、私は「09時から11時の間に入場せよ」という意味でとっていたのですが、正しくは「09時に入って、11時までに出ろ」ということだったらしい。一般に美術館では滞在時間の制限なんてしないので、すっかり勘違いをしておりました。これは入れてもらえないかなぁと思ったら、11時からの入場に取り替えてもらえました(11ユーロ)。ありがとう、お兄さん(うるうる)。
 時間ができてしまったので、公園内を散策。湖の庭園(Giardino del Lago)やゲーテの像を見て戻ってくるだけで1時間かかるという広大な敷地でした。
 さて、朝一番に入場した人達を完全に追い出したところで入場開始。うわぁ…… まず、建物内部のきらびやかさに息を呑む。次いで、飾られている彫刻の美しさに溜め息をつく。カノーヴァの彫刻『パオリーナ・ボナパルト像』などは、本当に石で出来ているのか疑いたくなるほど柔らか。ローマに来たのなら、ちょっと無理をしてでも行ってみる価値があるところです。
 ちょっとお腹が空いてきたので、美術館の地下階にあるバールでホウレン草を挟んだパニーニを購入し(2.6ユーロ)、公園のベンチでぱくつく。
 帰りはピンチョの丘(Monte Pincio)から。高台の上からは、ヴァチカンのクーポラを眺めることのできる、見晴らしの良い場所でした。サンタ・マリア・デル・ポポロ教会に少しばかり立ち寄ったあと、フラミーニオ駅から地下鉄A線に乗車。

▼ 地下鉄よ、お前もか!!
 ところがテルミニ駅に着くと、様子がおかしい。なんと、地下鉄B線が不通になっていたのでした。ぉぃぉぃ。飛行機は遅れるし、国鉄は止まる。そのうえ地下鉄までも運休か。イタリア、《ゆるゆる》すぎです。スペインを知る人に言われるレヴェルがどれほどのものか察してください(笑)

コロッセオ
 仕方なく、目的地と経路を変更。サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂を横目に眺めながら、歩いてコロッセオ(Colosseo)に向かいます。途中、ジェラートを買って活力を補給。思ったより時間はかかりませんでした。
 さて、切符売り場を見てみると、長蛇の列。そこで裏技に挑みます。いったんラティーノの丘)へ。ここで待つことなく共通入場券(10ユーロ)を購入し、再びコロッセオへ戻ります。で、数百人が並ぶのを横をすり抜けて、すんなり入場。でも、内部は大したことありませんでした。コンサートをやってない音楽堂、あるいは、試合をやっていない野球場へ出かけても面白くないのと同じ。あ、いや、ここで剣闘士に殺戮を繰り広げて欲しいとは、微塵にも思いませんが……

▼ 真実の口
 続いては、チルコ・マッシモ(Circo Massimo:古代の戦車競技場)を通ってサンタ・マリア・イン・コスメディン教会(Santa Maria in Cosmedin)へ。あの「真実の口」がある場所です。途中、右手にパラティーノの丘に立つ遺跡群が綺麗に見えます。
 教会に着いてみると、わずか数人しかいない…… 知名度の割に、随分とひっそりしたところでした。なお、伝説に則り手を入れ、私は嘘つきではないとの認証を得てきました(ぱちぱち)。
 そのまま時計回りに歩き続け、フォルトゥーナ神殿(Tempio della Fortuna Virile:川と港の神を祀る神殿)や、マルケルス劇場(Teatro di Maecello)を横目に見ながら歩を進める。なんだろう?と思って見てみると無造作に紀元前の建造物がある、というのは凄いなぁ。

フォロ・ロマーノ
 階段を昇ってカンピドーリオ広場(Piazza del Campidoglio)の裏手にまわると、眼下にフォロ・ロマーノ(Foro Romano)が広がります。ここが、ローマ時代におけるローマの中心地。だいぶ荒れ果てているとはいえ、歴史に名を残した人々が闊歩していた当時の様子をしのぶことができます。かくも昔のものが残されていた幸運には感謝すべきでしょう。だって、日本で言えば、卑弥呼が登場する前の時代のことなんですよ? 
 先ほど買っておいた入場券を使って、14時23分、ラティーノの丘(Monte Palatino)の高台へ。市庁舎の側からは正面方向に伸びていたものが、今度は左右に広がります。夕陽に照らされて影を落とす遺跡たちを、飽きもせずに眺めておりました。
 その後、ヴィットーリオ・エマヌエーレII世記念堂(Monumento a Vittorio Emanuele II)や、ヴェネツィア宮殿(Pal. Venezia)の前を通って帰還。