イタリア旅行記 (4/6)

 ローマからフィレンツェへ移動。
 ホテルをチェックアウトし、地下鉄に乗ってテルミニ駅へ。通勤客で混むのではないかと心配したのですが、窮屈な思いはせずに済みました。事前にインターネット経由のチケットレス予約をしてあったので、そのまま08時55分発のES*に乗車。
 所要およそ1時間30分でフィレンツェ着。予約をしておいたホテル・デッレ・ナツィオーニ(Hotel delle Nazioni Firenze)に荷物を預けにいく。駅を出てすぐ右という至便な場所にありました。
 日本語で予約できる“Hotel Club”を利用しました。シングル1泊54ユーロ。部屋に入ってみると、本来140ユーロのダブルルームをあてがってくれていました。しかも最上階で、小さいながらもテラスがついています。朝、窓を開けるとドゥオーモが見えると言う最高の部屋。従業員の対応も気持ち良くて、朝食が貧相だったということを除けば、是非お勧めしたいところ。
http://www.terraditoscana.com/dellenazioni/
http://www.hotelclub.net/

▼ イタリア・ルネサンス巡り
 駅に隣接するスーパーで飲み物を購入し、市内散策へと繰り出しました。最初に目指したのはサン・マルコ美術館(Museo di San Marco)。4ユーロ。あまりに小さなところだったので、入口に気づかず通り過ぎてしまいました。階段を昇ると、いきなり正面にフラ(ベアート)・アンジェリコ(Beato Angelico)の『受胎告知』(Annunciazione)がありました。まさか、かくも有名な絵が、廊下の壁に描かれたものだとは思っていなかったので驚きました。ここの所蔵品では、記念品売り場に書かれていた『最後の晩餐』が最も気に入りました。
 続いては、アカデミア美術館(Galleria dll'Accademia)。12時40分に着いたのですが、炎天下で40分待たされました。今回の旅で、唯一入場待ちがあったのは此処です。予約しておくべきだったと後悔。中ではゆったりできるようにという配慮で入場数制限をやっていたようなのですが、制限が厳しすぎですね。ここのお目当ては、ミケランジェロダヴィデ像。保健の教科書の、と言えば誰でもわかるアレです。でもね、男性の裸体像を見ても、あんまり楽しくなかった(^^;) ここの所蔵品の中では、絵画の方が気に入りました。
 手近なバールでパニーニを調達し(2.6ユーロ)、カテドラーレ(Catedrale、大聖堂)へ。白、ピンク、グリーンの鮮やかな色彩が目を引きます。いつも薄茶けた教会を見慣れているだけに、ちょっと奇異な感じがする。内部は外観に負けてしまっていましたね。
 続いてメディチ家礼拝堂(Cappelle Medicee)。うわ、最悪。「君主の礼拝堂」は工事のための足場が組まれていて、祭壇だけが見えるという状態。雰囲気ぶち壊しです。それでいて6ユーロも徴収されるのだから、たまったものではありません。
 15時33分、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会。取り立てて言うほどのものでもなし。
 さて、「バカと煙は高い所へ昇る」と言いますが、やはり高所からの眺めは良いもの。それがフィレンツェには、2つの候補があります。1つは大聖堂のクーポラ(丸屋根)ですが、そのクーポラを真横から眺めることのできるジョットの鐘楼(Campanile di Giotto)の方に昇ってみることにしました(6ユーロ)。1334年にジョットが設計した、高さ82mの細長い塔。16時04分、いざ参る。414段の階段は、かなりきつい。降りてくる人のために道を譲らなければならない。ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂では往路と復路が別ですし、ピサの斜塔は時間を区切っての入場なので、狭い階段で鉢合わせということは起こりません。しかし、息をきらしつつ辿り着いたテラスは、まさに絶景でした。
 へとへとになったので、有名店ペルケ・ノー(Perche NO!)のジェラート(2ユーロ)を食べて休息。そのまま南下し、新市場のイノシシの像、橋の上に貴金属店が並ぶポンテ・ヴェッキオ(Pnte Vecchio)を見る。
 17時26分、パラティーナ美術館(Galleria Palatina)へ。もう素晴らしいの一言。これが他の街にあったのなら、この所蔵品を見るために旅行へ出かける価値があるというほど。ルーヴェンス、ムリーリョなどが「ちょっと出来がいい」程度に思えるくらい、全体の質が高い。また、宮殿の装飾や壁画も見事でした。思わず、ガイドブック(21ユーロ)を購入。存分に楽しんできました。
 夕食はホット・ポット(Hot Pot)にて。定食9.8ユーロで、好きなものを指定するという店。野菜サラダ、スパゲティ、果物、赤ワインを選択。調理済みのものを盛りつけるのでアルデンテなど望むべくもない店ですが、ボラれることもなく、気軽に味を楽しむことができました。

▼ アクア
 帰路、駅前に屋台が出ていたので、水を購入しようとしました。
 「おっちゃん、ミネラルウォーターちょうだい。炭酸入りの」
 「あんた、日本人かい?」
 「うん。そうだよ」
 「本当にガス入りでいいのか? 日本人は、ガスなしの水しか飲まないんだろ?」
 「――いや、私、バレンシア在住だから」
 「そうか、ならいいだろう」
 私は、ガス入りの方が美味しいと思うんですけれどねぇ。