イタリア遺聞

 塩野七生イタリア遺聞』(ISBN:410118108X)読了。
 著者が歴史小説を書くために調べ上げた事柄のうち、小説には取り入れられなかった《こぼれ話》を集めたもの。例えば、『オデュッセイア』。トロイ攻略の後、神々の怒りに触れたオデュッセウスは、故郷に帰るまで10年の放浪を余儀なくされた――ことになっているが、実は荒唐無稽な物語は「朝帰りした夫の言い訳」だったという新説を披露する。まとも(?)なところでは、ヴェネツィアの外交官の情報収集力の高さがわかる逸話も多数。とても面白い。