四季 冬

 森博嗣(もり・ひろし)『四季 冬――The Four Seasons, Black Winter』(ISBN:4061823639)読了。

「それでも、人は、類型の中に夢を見ることが可能です」
「人間の命など、すべて類型ではないのかね? 人の躰など、人の思考を形にするための類型だ」

 誰の発言であるかは伏せます。ここに現れているような倫理観・生命観と、これからの科学技術は向き合っていかなければならないのだろう。本書は、それがリアリティを伴っていない21世紀初頭におけるSF。
 この命題は、「思考する類型」を人と認めるのだろうか。脳裏に未だ見ぬマルチ(HMX-12)の姿を思い浮かべながら読み進める。