ローマの休日ひとり歩き

 佐藤幸三(さとう・こうぞう)『ローマの休日ひとり歩き』(ISBN:4582633617)を眺めて楽しむ。
 表紙にオードリー・ヘップバーンの写真が埋め込まれていることからわかるように、映画『ローマの休日』の便乗もの。本書が決定的にまずいのは、映画との連動が弱いところ。映画で登場したロケ地がどこであるのかは、本書を見ればわかるようになっている。しかし、映画から引用した画像はたったの4コマ。しかも、掲載されている実在する場所の写真とは咬み合っていない。本書の過半は、映画とは関係ないのだ。これでは、看板に偽りあり、と非難されても致し方あるまい。舞台探訪のプロ(?)である私から言わせてもらえば、これで商品にするなど意気込みが足りない。
 観光ガイドブックとして読むなら悪くない作りなのだが、これといった特色もない。観光名所は偏りなく取り上げられているが、文章が徹底して主観を排除しているため、平板な構成。写真に添えられたキャプションの域を出ておらず、読み物としては面白くない。著者は1935年生まれで、東宝の宣伝部にいたことのあるカメラマンとのこと。それにしては、撮影条件の悪いものも何枚か混じっている。
 個人旅行でローマをじっくり歩き回りたいという人にとっては、訪問地選びの資料として本書は有用だろう。
――って他人事のように言ってますが、秋休みの旅行で悩んでいるのです。日本からスペインへの直行便はないので、必ずどこかで乗り継ぎが必要になります。経由地をパリ(ルーヴルで絵画鑑賞)にするか、それともローマ(ガンスリ徹底取材)にするか……。

Ciao Frtatello!

 さて、本書には国立絵画館(バルベリーニ宮)が紹介されています。ここが『GUNSLINGER GIRL』の第17話*1で登場していることは既に指摘していたところですが、相田裕が参考資料として使用したのは本書のようです。左がガンスリンガー・ガール、右が本書からの引用。

*1:単行本第3巻(ISBN:4840226229)所収