勝者の混迷

 学会誌への投稿原稿に目処が付いたので,塩野七生ローマ人の物語――勝者の混迷』を読み始める。
ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫) ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)
 扱っているのはグラックス兄弟の時代(BC133〜),マリウスとスッラの時代(BC120〜),ポンペイウスの時代(BC78〜)。建国から600年ほど経過したローマは覇権を手にしていたものの,社会システムが耐用年数を過ぎ,共和制に「ほころび」が生じていた――というあたり。
 最近,労働を支える基層*1のことをずっと考えていた。現在の日本だと,器を移し替えて守るべき《葡萄酒》は何なのか。《古い革袋》をいったいどう扱えばいいのか。
 歴史を眺める目で,もういちど考え直してみよう。

*1:日本的雇用慣行,正社員と基幹的業務,最低賃金労働組合,解雇制限などなど。