オタクvsサブカル

 熱い日差しを避けて家の中にこもり,ユリイカ臨時増刊『オタクvsサブカル!』(ISBN:4791701372)を楽しんで午後を過ごす。
 最終戦争(ハルマゲドン)が起こるのかと思いきや,いきなり共存共栄を唱えたり*1,ただひたすら自分史の編み上げに徹することで他人と相対化することの無意味さを諭したり*2,芸として内ゲバをやってみせたり*3,「それはさておき」と少女論をぶちかましたり*4――。芸達者な執筆陣が豊富なおかげで,読み応えのある「娯楽雑誌」に仕上がってます。
 つまるところ,この本を読んで理知的に論評しようとした瞬間,おたくは「サブカルオタ*5になってしまい,問題自体が収斂して消滅してしまうんですよ。所詮,おたくもサブカルも「サブカルチャー」内部の微妙な差でしかない。盛り上げるなら,森川某でも連れてこないと(笑)

*1:吉田アミ 「一〇年前の世界と一〇年後の世界を発見する件について」

*2:田口和裕 「おれとサブカル

*3:前島賢 「僕をオタクにしてくれなかった岡田斗司夫へ 断絶と反復と」。『ユリイカ』ではオタク第三世代が第一世代を攻撃するという構図になっているのですが,〈セカイ系〉の話題からオタク第二世代に噛み付く番外編(?)も面白かった。
http://d.hatena.ne.jp/cherry-3d/20050803#p1

*4:堀越英美 「家政婦はオタクVSサブカル論争に旧制高校生の亡霊を見た!」

*5:更科修一郎は,〈萌え〉を志向するオタクの態度を相対化し,時に内部批判を行うのがサブカルオタなのだ,と説く。」