ローマ (1/4)

 06時に起床。ホテルをチェックアウト――しようとしたところで,ちょっとしたトラブルに。係員が決済機の使い方を熟知しておらず,なかなか支払いができない。空港行きのバスにしても,なかなか来ない。この日は一日,ちょっとした不愉快な出来事が続くことになる。
 08時35分,ブエリング航空VLG7150便にて,VLCバレンシア/BIOビルバオ。定刻よりも20分ほど早く到着。ここで10時55分発の同VLG7381便に乗り換えて,BIOビルバオ/FCOローマ(フィウミチーノ)という移動。南欧の位置関係が思い浮かばない人には伝わらないことと思いますが,かなりアクロバティックな経路をとってます。例えて言うなら,東京から北京へ行くのに,札幌で乗り継ぐような感じ。それでも運賃が Eur24.2 + Eur48.46 なので,合計しても10,092円で移動できる。
 ビルバオでの待ち時間には,バルで珈琲を飲みつつ,本を読んで過ごす。軽食には,大きなトルティージャ*1が乗ったピンチョ*2を。
 フライトは快適だったのですが,到着したらイタリアでした。預けた荷物が出てくるまで20分ほどかかる。何ですか,この仕事の遅さは……*3。しかも! スーツケースが(少しだけど)破損してるし*4
 クレームを付けるほどではないので,15時37分の鉄道「レオナルド・エクスプレス」でローマ市内へ移動する。自動販売機で切符を買い,クレジットカードで支払う(Eur9.5)。すると,カードがものすごい勢いで吐き出され,飛んでいきました(!)。一瞬,何が起こったのか分からなかったよ。これだからイタリアは……。)
 ホテルは,テルミニ駅の隣にあるホテル・ルチアー二Hotel Luciani)。BOOKINGSにて予約。あまり良くない。まず第一に値段。二つ星なのに1泊75ユーロだなんて,ローマは物価が高いよ*5。第二に室内設備。洗面所にコップが無いって,なんか間抜け。第三に客層。廊下で大声を出したり,大音量でテレビを見ている客がいて,閉口。
http://www.bookings.net/hotel/it/hotellucianirome.html
 まだ明るいとはいえ既に16時をまわっており,施設には入場できないので,市内を散策してまわることにする。まずはホテルの近くにあったトラットリアでピッツァを一切れ頬張り,昼食の代わりにする(Eur2.2)。
 あとはひたすら,ヘンリエッタとリコを連れて『GUNSLINGER GIRL』の舞台探訪。ローマ国立博物館(マッシモ宮),国立絵画館(バルベリーニ宮),それからスペイン広場――って,どうしてスペイン階段の上にある教会*6を覆って修復工事なんてしてるんですか!!(泣)

 お約束ということで,『ローマの休日』に従い,近くの店でジェラートを食べる。
 近くにアウグストゥス帝廟(Mausoleo di Augusto)があったので寄ってみる。思いの外に大きい。塩野七生の著作を読んでから訪ねてくると,感慨もひとしお。基層がかなり低いところにあって,テヴェレ川が運んだ土砂により二千年で4mほど堆積があったことが分かる。パクス・ロマーナを象徴するアラ・パチス(Ara Patis:平和の祭壇)は修復工事中ということで近寄ることは叶わなかったが,外壁のガラス越しに目にすることは出来た。
 その後,モンテチトリオ宮殿(下院)とパンテオン(Pantheon)を巡ったところで日没を迎える*7
 あとはパンテオンの中を満足のゆくまで眺める。美しくて飽きない。直径43.3mのコンクリート製ドーム。これが紀元120年頃の建築だとは,とても思えない。古代ローマの技術力の高さに感嘆。

 ローマは,交通事情が悪くて苦労する。横断歩道がなかったり,あっても信号は無い。車列の切れ目を縫って渡れ,ということなのだが,それを思い出すまで困り果てる。あと,困ることといえば,3か国を回ってきたので言葉が混乱する。「セニョール,ウン・ビエール,ペル・ファヴォーレ」(西語+仏語+伊語)なんていう,とんでもない文章を発してしまったり(それでも通じるので問題は無いのですが)。
 夕食は,ちょっと奮発してトラットリアでア・ラ・カルタを。第一皿はポモドーロ,第二皿は冒険して「牛の胃袋のトマト煮ローマ風」,それにパン,グリッシーニ,ビール(Eur19.5)。トマト味を重ねてしまったことに気がついたのは,食べ始めてからでした。スパゲティは文句なしに美味しかった。胃袋は,なんて事はない,モツでした(^^;) ん〜と,動物性タンパク質が豊富でありながら脂肪分少なくヘルシーで,のどごしなめらか。一度は挑んでみる価値があるかもしれないが,無理はしなくていいかもしれない。

*1:tortilla:スペイン風オムレツ。ジャガイモを入れて堅焼きにする。

*2:薄切りのフランスパンに総菜を乗せて楊枝で刺したもの。バスク地方の名物

*3:この点,スペイン人は真面目。いい加減な国民性と思われているけれど,スペインでも北部や東部の人たちは時間を厳守する傾向にある。

*4:書き添えておくと,手荷物の移送はイタリアの会社が受託して行っていた。

*5:これでも,希望した条件(1)地下鉄で行ける地理的範囲内にあること,(2)エンスイート(個室内にシャワーがある)であること,を満たす最安値だった。

*6:トリニタ・ディ・モンティ教会

*7:日没後にも探索はしていたのだけれど,特に発見は無し。『ガンスリンガー・ガール』には,舞台がイタリアであることにリアリティを持たせるための仕掛けのコマが所々に挿入されているけれども,実在するものに忠実なわけではないのが探索者泣かせなところ。