危機と克服[上]

 塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――危機と克服[上]』(ISBN:4101181713)を読む。
 紀元68年に皇帝ネロが自死に追い込まれると,帝政は混乱し,わずか1年ほどの間に3人の皇帝――ガルバ,オトー,ヴィテリウスを戴くこととなった。この巻では,権力の承継を巡る争いについて触れる。
 塩野はこれを〈人心の把握〉という観点から述べ,こき下ろしていく。この人情の機微というものが,どうも上手く認識できない。政治は決して合理的なものではないのが難しい。