谷川流 『涼宮ハルヒの憂鬱』

 旬のものを滋味の豊かなうちに味わっておこうと思い,谷川流(たにがわ・ながる)の『涼宮ハルヒの憂鬱』(ISBN:4044292019)を読む。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第1作。
 読み始めたら面白くて,ぐんぐん引き込まれる。最初のうちはクセのある独白文体に戸惑ったものの,それが本作の妙味だと分かってくると楽しい。会話文との組み合わせ方が小気味よい。
 読者が作品世界に順応したところを見計らって繰り出される「ROOM NO.708――眼鏡少女はインフォマティック?」。そして,めくるめくビミョーな〈非日常〉。展開の運び方が実に上手い。