谷川流 『涼宮ハルヒの憤慨』

 谷川流(たにがわ・ながる)『涼宮ハルヒの憤慨』(ISBN:4044292086)読了。ハルヒシリーズ第8作。
 第2作『溜息』から前作『陰謀』まで〈楽しい〉読み物だとは思いましたが,〈面白い〉とは思いませんでした。ところが今回収録の中編「編集長★一直線!」は良く出来た話だと思う。
 この評価の違いは何だろうと考えてみたのですが,物語の駆動力が他の巻と違っているからでしょう。未来人・宇宙人・超能力者であるという属性が直接的な影響力を持っておらず,経験のみが展開に反映されている。通常人でも保有しうる能力に立脚した学園ドラマとして組み立てられているために,安心して作品に寄りかかれるのです。相対的なものではありますけれどね。

 収録されている2編の中編はともに読んだ5秒後には内容を忘れてしまいそうな、極めてどうということのない代物である。とはいえハルヒシリーズ自体が元よりそういうものなので、一瞬で忘れてしまったからといっていちいち気に病む必要はないだろう。(中略)
 話なんかどうでもいいんだ。そんなものは枝葉にすぎない。
http://d.hatena.ne.jp/p17n/20060503#p1

――と仰るのはもっともで,私もシリーズを全体として評価するなら「キャラクターが戯れている様子」から捉えます。ただ,こと今回に関しては,話の構造を好評価の要因にしておきましょう。


 この場を使って,ちょっとご挨拶。
 今週の後半,「舞台探訪アーカイブ」(http://legwork.g.hatena.ne.jp/)に収録したハルヒ関連記事がニュースサイトで集中的に紹介されたおかげで,多数のアクセスをいただきました*1。今後ともお引き立ての程,どうぞよろしく。

*1:アクセスレポートはどなたでもご覧いただけます。保有する情報は,差し支えの無い限りにおいて,パブリックな場で活用できるよう提供したいと考えておりますので。これを調査活動などに利用していただいても一向に差し支えありません。