米澤穂信 『愚者のエンドロール』

 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)『愚者のエンドロール』(ISBN:404427102X)読了。古典部シリーズ第2作。
 文化祭出典作として撮られた自主映画は,殺人現場を写したところで終わっていた。解決編を書く前に倒れてしまった脚本家に代わり,続きを推理して欲しい――
 日常を探偵小説に変えてしまう部員4人が,結末を探し回る。
 「ミステリー」という存在の曖昧さを逆手にとったようなこの作風,大好きです。「別にいいじゃない,鍵ぐらい」は,けだし名言。212頁から始まる畳み掛けるような〈崩し〉も,面白さにゾクゾクする。
 ただ,読み終えてから振り返ってみると,今回の話で要になっている入須先輩の行動を規律する原理(ホワイダニット)に不自然さが感じられるのです。私が入須冬美の立場にあったならば◇◇◇役を買って出て××を○○○させると思うのだけれど。作中人物が,それとは違う行動を取った理由が引っかかる。入須が本当に護ろうとしたものは何だったのだろう?
 普段,小説の挿絵なんかどうでもいいと言っている私ですが,スニーカー文庫版の旧装丁は高野音彦のイラストだったことを知ると,ちょっと悔しい。