乙一 『平面いぬ。』

 乙一(おついち)『平面いぬ。』(ISBN:4087475905)読了。
 目を見てしまった者を石に変えてしまうという伝承の残る「石ノ目」。思念体として生み出されたはずの少女が,いつしか実体を持つ幻覚になる「はじめ」。動き出すおかしなぬいぐるみ「BLUE」。腕に犬を飼う「平面いぬ。」。四編を毎晩1つずつ読んだ。陽の光の下で読むには向かない短編集。
 いずれもホラーなんだかファンタジーなんだか良く分からない(もちろん,良い意味で)。所詮は作り話――そんな前提を軽やかに乗り越えて,現出するエキセントリックな情景。リリカルさまでも味わわせてくれる作品群でありました。