古橋秀之 『ある日、爆弾がおちてきて』

 古橋秀之(ふるはし・ひでゆき)『ある日、爆弾がおちてきて』(ISBN:4840231826)読了。
 いずれも《時間》を主題に取った7本の連作。得てして著者自身による作品解説というのは趣を削がれるものだが,こと本作にあっては〈男の子の時間〉と〈女の子の時間〉の図解が面白い。
 締めくくりを飾る「むかし、爆弾がおちてきて」は卑怯です〜 『トップをねらえ!』のエンドロールや『DESIRE‐背徳の螺旋‐』の第三シナリオで滂沱の涙を流したトラウマが思い起こされてしまう*1
 どれか1編を推すとしたら「三時間目のまどか」ですね。ひときわ清涼感に溢れたボーイ・ミーツ・ガールもの。
 人物像が掘り下げられていないのが物足りなさを感じさせるところだが,それが軽やかな読後感に繋がっているところなので必ずしもマイナスでもない。短編集としては完成度が高く,秀作。

*1:実話。下書きで「1万2000年後」とか「ティーナ」と書いていたら,それだけで涙腺が緩んできた。