ハーレム

 アムステルダムから列車で20分ほどのところにあるハーレム(Haarlem)へ。ニューヨークにある「ハーレム」の起源になった街。なお,後宮を意味するハレム(harem)はトルコ語(およびアラビア語)起源なので別物。
 まず街を北から南へ向かって縦断し,街の造りを見る。うねうねと緩く曲がりながら続く道に沿って商店が建ち並び,賑わいがある。パン屋さんで足を止めて珈琲を飲み,それから東側を流れるスパールネ川(Spaarne)に出る。
 白く映える跳ね橋の上から川沿いの風景を見た後,向かった先はテイラー美術館(Teylers Museum)。1778年に開館したという堂々とした構えの建物。入り口から順に化石,鉱物,電気実験装置と自然科学関連の展示が続く。突き当たりにあるカプセルの形をした展示室は吹き抜けになっており,室内空間そのものが芸術としての風格を持っている。そこから建物は,右手へL字型に続き,絵画の展示を行っている。掲げられているのは18世紀ネーデルラント派の作品。民衆画(王侯貴族ではなく市民の暮らしを描いたもの)や風景画(従来は人物画の背景でしかなかったものが独立したテーマとして成立したもの)あるいは静物画が並ぶ。なかなか趣のある作品が多い。他に誰もいないのを幸い,1枚1枚じっくり堪能する。
http://www.teylersmuseum.nl/
 次に向かったのはフランス・ハルス美術館(Frans Hals Museum)。17世紀の画家フランス・ハルスの作品を中心に展示する。市民からの注文を受けて描かれた集団肖像画が多い。この時期の作風は私の好みなのだけれど,この作者はどうも好きじゃないなぁ。高い場所に掲げた場合には良いのだろうけれど,細部の仕上げをていねいにやっていないので,近くで見ると印象が良くない。
http://franshalsmuseum.nl/
 中心部の旧肉市場(Vleeshal)へ向かってみると……燃えてました。煙が立ち昇っており,消火作業中(^^; 市役所(Stadhuis)も結婚式が行われて入れませんでした。そんなわけで内部を見ることはできませんでしたが,もう十分に満ち足りた気分。