ルンド

 この旅の前半の目的地。ルンド(Lund)大学に学会関係の知人であるTさん(某N大学助教授)が留学しているところを訪ねる。ちなみに,訪問の予定を告げたところ,真っ先にTさんから反ってきたのは「『ニルスのふしぎな旅』の舞台探訪ですか?」でした(違います)。

 11時に駅前で待ち合わせ,市内を案内してもらう。といっても「大学の町」なので,いわゆる観光名所はほとんど無い。

 まずは大学図書館や研究室の内部を見学させてもらう。法学部の建物は最近改修されたとかで,快適な環境。
 続いて訪れたのは大聖堂。1103年頃にローマ教会直属の大司教座が置かれ,かつては北欧全体を統括していたという由緒あるもの。現在はプロテスタントのはずなのに,聖堂の正面にはビザンチン様式のモザイク画でキリストの御姿が描かれている。外観は黒く薄汚れているが,内部は壮麗で柔らかな空間。入り口を入って左手には,14世紀に作られたという天文時計。聖母子の周囲を三賢人(Magi)が練り歩く(簡単な)絡繰りが用意されている。聖堂の地下には,伝説の巨人“Finn”の像が柱に彫り込まれている。この地にキリスト教が伝わってきたとき,土着信仰を取り込んでいった名残だと思うのだけれど……。石にされてしまったフィン一家の方が可哀想だよ(なぜか夫のみならず妻子まで石になっていた)。

 それからTさんお勧めのレストランで会食。アムステルダム滞在中はパンとビールと缶詰の果物(とビタミン剤)で過ごしていたので,暖かい食事は久しぶり。鱈と鮭のトマトスープ煮込み(SEK65)をいただく。食後は喫茶店で珈琲を飲みながら,近況を語り合う。
 ちなみに,おみやげのリクエストを聞いたら「カレールゥとホワイトシチューの素」でした。この気持ちは良く分かる。こういう何気ないものが,長期滞在中には恋しくなるんだよね。
 たまたま同じ日に別な来客があるというのでTさんとは早めに別れ,夕方は一人で市内を散策してきました。