フレデリクスボー

 近郊列車エストー(S-tog)のA線に乗って40分。終点のヒレロズ(Hillerod)へ。駅を出て左手にある小道をず〜っと歩いていくと,湖の向こうにたたずむフレデリクスボー城(Flederiksborg Slot)を見渡せる場所に出る。整った姿が美しい。さらに湖岸を半周して城内へ。
 これまでにも王城を訪ねたことは何度かありますが,あまり良い思いをしたことはありません。大抵は,フラッシュを焚くために来ているのだろうかと思わざるを得ない団体客に占領されて,這々の体で逃げ出す羽目になるから。それが,ここは静かで人も少なく,じっくり瀟洒な空間を満喫できました(15時という遅い時間に来たのが幸いしたのかも)。
 1859年の大火で主要部分を消失し,ビール会社カールスバーグの出資で再建されたものの王は居城とせず,国史博物館(Det Nationalhistoriske Museum)として利用されている(DKK60)。
 付設の教会堂はベージュ色にまとめられており,明るく爽やか。謁見の間とそれへ続く渡り廊下は白の大理石を基調としたバロック調で華麗。このあたりは火災の被害を受けておらず,建物そのものに見応えがある。
 各室には調度品と絵画が並べられているが,王侯貴族の肖像画が多い。絵画の質が全般的に高くないのは,致し方ないかと思う。その中に1枚,群を抜いて出来の良い絵画があったのだけれど,描かれているテーマが不似合いなので作者を見たらヴェネツィア絵画だった,という始末(カナレットの絵だったん)。
 日本語のリーフレット(DKK40)があったので記念に買い求めた後,小高くなっている庭園の側から城の姿を眺めたり,バズスチューン(Badsturn)という小城を見てから,湖の反対側を回って駅に戻る。
 再建の功をたたえるべく,駅の売店でカールスベアのビールを購入。