星のような物語――星野道夫展

 依頼原稿を書き上げて発送。査読待ちの時間を利用して,星野道夫の写真展を見に行く。没後10年を記念した催しで,2007年1月8日まで大丸札幌店にて。ずっと白黒の判例集を眺めていたこともあって,アラスカの色彩が強烈に映る。
 大きなパネルに仕立てられていたので,写真集などで見るのとは違った趣。生き物たちが被写体の中心になっているものは本で見た時と印象が異なるところはないが,風景の中に小さく動物たちが写り込んでいるものは見方が変わる。遠景になっている山の稜線や,氷河に刻まれたうねり等,引き延ばされたおかげで見えるようになった箇所に視線をはわせて楽しむ。
 出口付近には,遺品を展示。エピソードの中で幾度となく語られていた手紙――アラスカに恋い焦がれた道夫が,「Major; Shishmaref, ALASKA(アラスカ州シシュマレフ村の村長へ)」とだけ宛名に書いて手紙を出したところ,帰ってきた「いらっしゃい」という返事――の実物は感無量。青いボールペンで書かれた文面からは,これを書いた者と受け取った者がそれぞれどのような思いを込めたのか伝わってくるかのよう。