J.ケッチャム 『地下室の箱』

 締切の直前に読む小説は楽しい。ドキドキする*1
 休憩しようとジャック・ケッチャム(Jack Ketchum)『地下室の箱(Right to Life)』(邦訳:ISBN:4594031463)を開いたところ,そのまま読了。
 妊婦がさらわれて,箱の中に詰め込まれて,磔にされて,猫にすり寄られて,鞭で打たれて,ツナサラダを食べて,焼き印を押されて,それでもって胎児が育ったところで…… というお話。原作の表紙(ISBN:1887368566)は艶っぽいですが,ポルノ性は極小です。
 率直に言って,凄味(すごみ)はありませんでした。被害者のツンツン度が高すぎるために精神的圧迫の描写に至らず,悲壮感に薄いせいだろう。『ひぐらしのなく頃に』の北条沙都子シナリオや鷹野三四の過去編との比較でいうなら,本作『地下室の箱』は霞んでしまう程度の強度しか持たない。加えて,いつの間にか加害者の方がヘタレてしまうのは如何なものか。

*1:一種の「吊り橋効果」であると解釈されます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8A%E3%82%8A%E6%A9%8B%E7%90%86%E8%AB%96