国立西洋美術館

 帰りの飛行機を夕方にして時間を作り,上野の国立西洋美術館を訪ねる。
 ヨーロッパの絵画美術館は幾つか巡っているが,母国の首都にある美術館へ足を運んだことはなかった。学会参加のために東京へ出かけることは多いものの,これまで休館日の都合で出かける機会を得られなかったので。
 企画展では「チューリヒ工科大学版画素描館の所蔵作品によるイタリア・ルネサンスの版画」を見る。版画は多くの美術館にあるが,色彩豊かな油彩画を楽しむ合間の“箸休め”という感覚でいた。今回,マンテーニャなどの手になるエングレーヴィングなどをまとめて見ることにより,かなり認識を改めました。絵画の最新技術を伝達するメディアとして版画を位置づけての解説も興味深かった。
 西暦1500年に作られた「ヴェネツィア鳥瞰図」は,紙を横6枚×縦2枚に並べたところに実に細かいところまで描き込まれており圧巻。古地図を愛好する者にとっては,まさに至福。しかも,これが新潟県立近代美術館万代島美術館の所蔵だというのに驚く。