昭和館「手塚治虫の漫画の原点」

 会合へ参加するため東京まで日帰り出張。初めて行く場所だったので,かなり早めの便に乗って移動する。
 目的地の九段下駅で降りたところ,日本武道館周辺の景観が見事だったので散策し桜を愛でる。あとは珈琲でも飲んで時間調整をしようと思い九段の坂を降りてきたところ,昭和館という奇妙な外観の建物で,特別企画展手塚治虫の漫画の原点――戦争体験と描かれた戦争」が開催されるのを目にする。入場無料ということもあって立ち寄ってみた。

 政府系機関が主宰しているだけあって,全体は無難な構成。展示物は,直筆原稿や初期単行本が半分で,残りは戦中戦後の様子を伝える写真や遺物の展示。コーディネーターは石子順
 初期作品(例えば『勝利の日まで』等)については大塚英志が『アトムの命題』などで繰り返し取り上げられているところであるが,参照している箇所が違うことから,受け取る印象が異なる。この企画展では,手塚治虫が実体験として接していた《戦争》を記録として紹介している。
 あまり《漫画》を掘り下げていないので評論の観点からすれば決して見応えがあるわけではないが,足を運んでみる価値はあったと思う。2007年5月6日まで。