清涼院流水 『コズミック』

 読書会に備え,清涼院流水(せいりょういん・りゅうすい)のデビュー作『コズミック 世紀末探偵神話』(ISBN:4061819283*1を通読する。
 既に批評を通して本書の位置づけは把握してはいたものの,そこはかとない“やるせなさ”にさいなまれる。参照しなければないという必要がなければ,裁断して燃やしてしまいたい気分。

「1200個の密室で、1200人が殺害される」という『コズミック 世紀末探偵神話』で第2回メフィスト賞を受賞してデビューした清涼院流水は、探偵小説愛好家に賛否両論で迎えられた。清涼院の書く「流水大説」は、ミステリの脱格化=脱コード化を極端に推し進めたもので、ミステリの破壊行為と見る向きすらあったのである。
http://d.hatena.ne.jp/dzogchen/20050708

 もう,悪意がカバーを被っていると言いたくなるような内容で,再読などしたくないし,できることなら清涼院の後続作も読まずに生きていたい。でも,文学史の上で記念碑的な作品であることは否定しがたい。