大塚英志 『更新期の文学』(再読)

 《ゲーム的リアリズム》の元ネタとして位置づけられている『キャラクター小説の作り方』(ISBN:4061496468)を読み,物足りなくなったので大塚英志(おおつか・えいじ)『更新期の文学』(ISBN:4393444132)を再読する。
 最初に読んだときには「荒っぽさ」や「傲慢さ」が鼻についたのだが,ぐるっと迂回してから読み返してみると「言説の力強さ」と「自説に対する強い自負」に思えるから不思議。
 昨今における大塚の活動は「ジャパニメーション」「戦後民主主義」「おたく論」「ブンガク」「民俗学」といった領域で展開されており散漫なように思えるが,それらは泉源を一にするものであることが本書で記されている(口汚くはあるのですけれど)。現時点での「大塚英志論」としては最もまとまった業績だろう。