伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』

 読書会に参加。今回のお題は,文庫化(ISBN:4488464017)&映画化記念で,伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)『アヒルと鴨のコインロッカー』(ISBN:4488017002)。
 東京創元社ミステリ・フロンティア》の第1回配本であってシリーズの方向性を示したものであるとか,直木賞候補の常連である――といったコンテクストにおいてはそこそこ話ができるものの,テクストについてとなると沈黙してしまう。
 トリックをスパイスに用いた青春小説と言えるかと思います。しかし,言い換えてみれば,展開に論理的な整合性がなく,主人公らの行動については動機が不明で,事件性についても偶然性によって左右される要素が大きい。加えて,村上春樹へのオマージュが強く意識される(らしい)文体は,どうも苦手。
 先行上映された映画を観てきた人の話では,原作だと違和のあった部分が上手く削ぎ落とされた仕上がりになっていた,ということでしたが……