谷原秋桜子 『龍の館の秘密』

 谷原秋桜子(たにはら・しょうこ)『龍の館の秘密』の創元推理文庫版(ISBN:488466028)を読む。
 死した画家の残した館には,龍をモティーフにしたトリック・アートが仕掛けられていた。たまたま友人が同じ館を訪ねてきたことから一緒に投宿することになった美波(みなみ)は,夜中に水音を耳にする――
 主人公のひたむきさに溢れた小説。なのですが,伏線の張り方がこなれていなくて,ミステリーとしては結末の納得性が足りなかったのが残念。