高田崇史 『QED 六歌仙の暗号』

 読書会で,高田崇史(たかだ・たかふみ)の『QED 六歌仙の暗号』(ISBN:4062736888)を取り上げる。どうしてシリーズの第2作を題材にしたのか聞いてみたところ,この作者を代表するものとして真っ先に思いついたから,ということらしい。確かに,前作に比べると練度は高いと思う。
 しかしながら,国文学の人からはトンデモだと苦言を呈せられる。自然と話は《京極堂》との差異に向かうのですが,(1)妖怪に比べると怨霊は資料が散逸するので散漫になってしまう,(2)京極堂には榎木津という対話相手がいるが,本シリーズでは桑原崇の講釈を棚旗奈々&小松崎が一方的に聞くという構図になっており,仮説への反論が提出されていない,(3)本作は過去と現在の連結が弱い――といった指摘があがる。あと,(4)アレルギーの取扱いについては御都合が宜しすぎる,(5)奈々ちゃんが「!」の連発によりおばかキャラになっていくのは哀れだ,といったことも。