ベルリン (その3)

http://picasaweb.google.com/genoishi/Berlin 〔写真〕
 月曜日は美術館巡りにとって厄介な日。幸い,ベルリンには無休で開いているところがあったので,時間を持て余さずに済んだ。
 最初の訪問地はペルガモン博物館(Pergamonmuseum)。古代ギリシア(現在のトルコ)から『ゼウスの大祭壇』を丸ごと持ってくるだけでは飽きたらず,バビロンからは市門を丸ごと持ってきて築いてしまったというところ。帝国主義の時代に権勢を誇るための作業とはいえ,“莫迦ばっか”と呟かずにはいられない。「場所」から切り離された「建築」は空虚。
 続いては,同じ博物館島にあるボーデ博物館(Bodemuseum)を訪問。中世のキリスト教彫像が多くあり,ここが最もベルリンにおいてドイツらしさを醸し出しているところでした。
 昼時になったので,ペルガモン博物館の前にあったレストランに入る。メニューを見ると「サンマリノ」という名のイタリア料理店でした……。それならばイタリア流にプリモを頼もうとしたところ,店員さんに「うちのスパゲッティは量が多いですよ」と言われたので,店の名が冠せられた主菜を一皿だけ頼むことにする(グラスビールとパンを付けて12.5ユーロ)。出てきたのは,「鶏の胸肉を焼いたものパイナップルの輪切り乗せカレー粉で味を付けたホワイトソース掛け炒めライス添え」でした。誠に形容しがたい味。
 バス停に向かう途中,ベルリン大聖堂があったので立ち寄ってみるも,ここは入口で結構な額の入場料を徴収する。宗教施設にしてはえらく狭量なので,こちらも辞退。
 町の中心部を東西に結ぶ100番の二階建てバスに乗り込み,戦勝記念塔(Siegessaule)などを眺めながら,旧西ベルリンの中心街であるツォー駅にて下車。カイザー・ヴィルヘルム記念教会(Kaiser-Willhelm-Gedachtnis-Kirche)を訪ねる。石造りの教会は1943年に焼かれ崩れているが,隣接して八角形のモダンな教会堂が新たに建てられている。ガラスブロックによって組み上げられた堂内は,壁一面から青い光が差し込むステンドグラスとなっていて美しい。
 本日最後の訪問地はドイツ連邦議会議事堂(Reichstag, Deutscher Bundestag)。1894年に上棟された建物であるが,屋上には新たにガラス張りのドームが据え付けられ,展望台となっている。正面入口前には長蛇の列が出来ており,およそ1時間ほど待つ。立ち止まっていると,長月の伯林に吹く風は肌寒い。ずいぶんと列の進み方が遅いので見ていると,手荷物検査は空港でのそれより厳重で,過半は呼び止められていた。ドーム内には螺旋状に通路が設けられており,頂部まで上がることができる。見ると,すぐそこにブランデンブルク門があり,《西》と《東》の地理的な距離はかくも近かったのかと改めて思う。