シャルトル

 オルリー空港からはシャトルでRER(近郊鉄道)の駅まで接続し,北駅(Gare du Nord)から徒歩3分と交通至便なところに立地するCambrai Hotelへ。

 アーリーチェックインして荷物を置いてから,地下鉄4号線に乗ってモンパルナス駅へ向かい,13時00分発シャルトル(Chartres)行きの切符を買う。
 バレンシアからの移動は夕方の便にもできたのですが,木俣元一氏の紹介記事(id:genesis:20060314)を読んでからというもの是非とも一度訪れてみたいという想いが募っており,ちょっと無理して半日のパリ滞在を組んだわけです。
http://picasaweb.google.com/genoishi/Chartres 〔写真〕
 車窓を眺めていると,ふいに町があらわれてシャルトル駅に到着。こじんまりとしたところで,どうしてこんな片田舎に世界遺産が? と思うようなところ。駅から少し歩けばノートルダム大聖堂が見えてくる。まずは聖堂を正面から仰ぎ見て,空へ向かうゴシック建築の力強さを感じてから堂内へ。
 第一印象は「聞き及んでいたほどのものではない」でした。
 見渡してみると,堂内に光が差し込んでいない。時刻は14時30分。太陽が南中しており,ステンドグラスは全体が明るく光っている状態。しかも,この時間帯に映えるのであろう南の薔薇窓は折しも修復工事のためにふさがれていたのです。
 これはいけない。まずは市内散策をすませて,時間をずらすことにします。隣接する美術館(Musee des Beaux-Arts)は,近代建築の中に現代絵画を飾ってあったりと奇妙なところでした。絵画の状態も良くない。しかし,展示室からの外の眺めは大したものでした。庭園の左側に,丘の下へと降りる道があるのを覚えて館外へ。
 階段を降りていくと,ウール川(Eure)の岸辺に出ました。右に折れ,川沿いに歩いていくと古い街並みが目を楽しませてくれます。やはり,水のある風景というのは心地よい。日曜日も開いていたパン屋で飲みものを買い,喉を潤す。
 サン・ピエール教会(Eglise St-Pierre)で折り返し,大聖堂のある方角へと戻ります。すると,それほど立派ではないものの,趣のある教会があったので訪ねてみました。サンテニャン教会(Eglise St-Aignan)という13世紀の建物らしいのですが,それよりも古い様式に感じられる。それというのも,半筒形の天井は木で出来ており,屋根を支える柱は黄・赤・緑に縁取られ,壁は緑と金色で塗られている。石作りを基本とするロマネスクやゴシックとは違う暖かみがある良い建築でした。こういう出会いが嬉しい。
 町歩きを終わらせて大聖堂に戻ってきたのは17時。改めて堂内に入ってみると,西のランセット窓(正面入口の真上)から具合の良い光が差し込んでいる。
 昼間と夕方で,こんなにも印象が異なるものかと改めて感じる。この聖堂は身廊が東に向いているので,朝方には聖母のおわす方向から光が差してくるはず。機会があれば,早朝に訪れてみたいところ。