扇智史 『永遠のフローズンチョコレート』
扇智史(おうぎ・さとし)『永遠のフローズンチョコレート』(ISBN:4757726279)を読んだ。
殺人鬼の少女が,衝動的に10人目を手がけてみたらそれが不老不死の少女で,学園もので,少年と三角関係で,終わらない日常。
それは何という遠野志貴とアルクェイドと弓塚さつきの『新約月姫』ですか? とつっこみを入れようとしたところで
「ああ,これがあれか,『私を殺した責任,取ってもらうからね』って奴か。違うかな?」
36頁《殺戮に似たる病》
などと作中人物が言い出すので,動作に入りかけた裏手の始末に困る。
勢いと戯れとで組み立てられた小説。ちなみに,第2章の小題は《食い物とか煙とか土とか》であって,あちこちに世紀末臭のする先行作品へのオマージュあるいは劣化コピーが張り巡らせてある。
脱臼するほどではないので,取りあえずは読める。読んだところでしょーもない筋立てなので,共感などする気は起きない。でも,すごいものを読んだという実感がある。
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